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最強のサムライ  作者: 須那 洋
2/9

02 旅のお供に!

やはり楽しい、



「哲太、哲太、腹減った」


哲平が目を開けるとやる気のなさそうな赤髪が視界に入ってきた。


「あぁ…そういえば昨日つれて帰ってきちゃったんだった、やっぱこんな怪しい赤髪連れてくるんじゃなかったなぁ…」


「ねえ、今の頭の中で言ったつもり?モノローグ的なつもりだったのかな?思いっきりがっつり声に出てたけど、哲太くぅん!?」


朝からやかましい坂本を見ながらゆっくりと起き上がった哲平はため息をつくと、大きく息を吸い込み、


「僕の名前は哲平だぁぁぁあ!!!」


朝イチとは思えないほどの声をはりあげるのだった。


「わざとだ、あんたは絶対わざとやってるだろう!大体なんだ哲太って!それ以前に昨日なんて鉄拳でしたのよ!?意味がわからぬ!」


「お、おおぅ悪かったよ哲平くん、なんか怒りすぎて変な口調になってるよ?キャラ崩壊してるからね?完全に」


「壊したのはあんただろうが!」


坂本は哲平の怒り様にもうこのネタはやめておこうと心の中で決心するのだった。


「で、哲平くん、お腹減った」


「厚かましい人だなぁ、まあ助けて貰ったのは確かだし、少しくらいならいいか…」


「だから哲平くん?それ心の声だよね?それ相手に聞かれちゃまずいやつ!隠せてないどころかだいぶオープンだからね?それ」


若干坂本がオロオロしているのを見て充分な仕返しは出来ただろうと少し満足した哲平は食べる物の準備をすることにした。

哲平はもともとこういう事をするキャラではなかったのだが、坂本の言う通り若干キャラ崩壊してきているのかもしれない。


「はいどうぞ」


丸いテーブルを挟んだ2人の前にはこれでもか!とでも言えるほどの山盛りもやしが置かれていた。


「……哲平くん、これは?」


「もやしです、嫌なら食べなくてもいいんですよ?」


「いやいや食べるけども、哲平くん若いよね?育ち盛りだよね?いくらなんでも栄養素足りないんじゃないかなぁ?これは、あ、でも食べると美味しい!どうやってもやしにここまでの味付けを!?」


哲平は愚痴愚痴言いながらもバクバク食べていく坂本を見ていて、この人は一体なんなんだろうなどと考えていた、あそこまでの実力を持ちながらも坂本辰月などという名前は今までに聞いたことがない、それに、哲平の家は一応武士の名家だ、強い侍などはそれこそ飽きるほどに見てきたつもりだ、当然その中には父や兄なども入っているのだが坂本の実力は1目見ただけでもあの2人よりも高いとわかってしまった、根拠はないが自分の中の根底がそう認めてしまったのだ。


「坂本さんはこれからどうするんです?」


「んあ?辰月でいいよ、坂本さんなんて言わなくても」


「じゃあ辰月さん、これからどうするつもりなんですか?修行中なんでしょう?」


哲平は純粋に坂本の行動に興味があった、あれほどの実力者だ、自分が強くなるためのヒントも、何かしら持っているに違いない。


「そうさなあ、取り敢えずは1回江戸に戻るかな、用事もできたし」


「江戸?江戸に住んでいるんですか?」


哲平は、修行の旅をしていたのでは?と内心はてなマークが飛び交っていたが、坂本もそれは察したらしい。


「江戸を拠点にしてな、そこから全国に修行の旅に出て、帰りたくなったら一旦帰って休んでってやってるんだよ、やっぱり人間週休二日は取らないとだからね、休むのも肝心〜てどこかの偉い人も言ってた気がするし」


「そ、そんな感じでやってるんですか」


しかし坂本の言っていることにも一理ある、哲平はこのまま坂本について行けば自分も強い侍になるヒントが見つかるやもしれないと思っていると。


「ついてくるか?お前も」


「え?」


「そんな顔してた」


予想外でそれでいて考えていた事を当てられて哲平が目を見開いていると坂本はもやしを頬張りながら見透かしたように不敵に微笑んでいた。


「い、良いんですか?その、僕弱いし、あまり役に立てそうもないですけど…」


「そのネガティブ思考やめろ、お前にはお前のいい所がある、わかるか?俺にも利益があると思ったからこうやって提案したんだぞ?お前には才能もあるし未来もある。何もお情けで連れていく訳じゃあ無いしな」


富田家と言う江戸でも屈指の名家にあまり才能を持たず生まれてしまった哲平は、幼い頃から否定され続けてきた、勉学、剣術、異能力、どれをとっても1番になることは難しく、ただ1人だけ認めてくれた姉以外は常に出来のいい兄や弟にすらもバカにされて育ってきたのである、そんな境遇で育った哲平にとってそれは、思いがけずかけられた姉以外での人生で初めての肯定の言葉だった。


だが今の気持ちを表に出してしまえばこの人はまたきっと調子に乗る、それに感動している所などまだ照れくさくて見せられるものでもないのだ、だから溢れてくる感情を押しとどめると、改めて坂本辰月と言う侍について行くことを決めた。それが自分にとっての[最強のサムライ]への道だと感じたからだ。


「それじゃあ遠慮なくついて行かせてもらいますね、辰月さん!」


「んー、あ、俺昨日鍛冶屋行くの忘れてんじゃん!愛刀ポッキリ逝ったままじゃん!哲平!これ食ったらまずは鍛冶屋行くぞ!じゃなきゃ帰れん!」


一気にもやしをかき込んで咳き込んでいる辰月を見て、若干自分の決断に心配になってくる哲平であった。






時代モノという訳ではないですが、歴史上の人物を文字った人達がいっぱい出てくる予定です。

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