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No.50 さようなら
俺はネットゲーム廃人。毎日ログインして戦闘ゲームにのめりこむ。ある夜疲れて横になっていると、画面から俺のアバター美少女が出て、俺の手から機械を奪い勝手に操作しはじめた。加えてアニメ声も麗しい彼女が俺を睨む。
「レベルアップもできず、イラつく。いっそ私が操作する。今度はお前が私のアバターになれ」
「あっ」
俺はゲームの世界に転生した。ゲームの世界の空から大きな蛍光グリーンの目玉が俺を覗き込む。アバターこそ操作が下手で俺は何度も死んだ。
「いい加減に交替しろ。元の世界に戻してくれ」
死ぬたびに課金もしているのか、体力が不自然に充実して無理やり戦いをさせられる。
「もうゲームは二度としないから助けてくれ」
俺の声もかすれてきた。父さん母さん…助けてくれたらちゃんと働くから…意識が遠のいてくる。やがてアバターのコスプレをした俺の遺影を前に肉親たちが集まったのを感じた。真のゲームオーバーだ。




