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No.49  老女の幸福



 不自由の中にある自由の時間に私は前に進む。そのわずかな自由の中にも不自由がうんざりするほど詰め込まれている。だから私はため息をつく。私の身体の前後に影がついてまわり、縦にも横にも伸び、本体である私を凌駕しようと画策する。私は影に埋もれて影の影となりそう。それは困る。

 私は今日もカフェに入り一番安い紅茶を注文する。そして持参した古いパソコンに向かう。両手を素早く動かすほど、影は私を取り込めずにやがて消えてしまう。消えろ消えろ消えろ。

 電子の海の中へ、脳内の文字を形にして投入した私は、さっぱりした気分でカフェを後にする。これが私のいう小さな自由で、私の日常であり、非日常でもある。私の影はまた大きくなるが、夜の闇が近づくにつれて溶けて消える。さあ、この間に私は急いで眠りについて脳内の文字を今度は映像にして夢みるの。それがいいの。何もいらない。影は多分老いと体力だろう。年々大きくなるから。




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