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No.48 体重離婚
体重測定していたら夫が入ってきて裸の私を睨む。
「ぼくの体重を超えたか。結婚してから君は太る一方だ。別れよう」
「そんな、私がどんな姿になっても一生愛すると言ったじゃない。でもダイエットするから」
とたんにお腹がぐうと鳴った。急いで何か食べなきゃ。夫はそんな私を、ゴミを見るような目線で見る。
「もういい。実は出会ったころの君より細くて若い女と付き合っている。だから離婚してくれ」
「まあ、その子もきっとあなたと一緒になったら太るに決まってるのに」
それを聞くと夫はやや態度を改めた。
「確かにそうだな。なぜだろう」
私は涙を拭いて、夫を抱きしめ口を大きく開けて夫の頭部を覆い、思い切りかじる。血飛沫が白いタイル張りの浴室を彩り私は恍惚となる。
「…歴代の恋人はあなたを愛してた。だから食べるのを我慢して他のもので食欲を満たしていた。でも離婚されるなら、私は我慢せずに一気に食べちゃお。ああ、おいしい」