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No.41 ナナメの海辺にて



 そこは潮風が強く、海岸沿いの松の木が全てナナメになっていた。船も家もナナメ。歩く人間も犬もナナメになっている。顔の造作もナナメ。眉毛も目も鼻も口もすべてが下からナナメにあがっている。僕はそれを研究したい。

「ルーツを知りたいのでDNA検査をさせてくれ」

 ナナメ人はきっぱりと断る。

「調査の必要性がない」

 がっかりしたが、何度も会うとナナメ人たちの態度も変わるだろう。目論みは当たり、打ち解けたナナメ人たちから夕食に誘われた。初めてのことだ。ナナメの家のナナメの部屋で、ナナメ魚の刺身をすすめられ、たくさんいただいた。すると体全体がナナメ上に引っ張られる感覚がする。身体中が全部ナナメ上にひっぱられた。ナナメ上の重力に従い、ナナメに歩くと楽だ。僕は立派なナナメ人になった。常にナナメ人に対しナナメ上の気分だったのを反省した。研究する意思もなくなった。そしてまっすぐに歩く人間と打ち解ける気もなくなった。ナナメ万歳。



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