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No.39 ふりかざし
前触れなく巨人が出現し、居住しているマンションを根っこから引き抜く。僕は危機一髪で外出、できた穴と地割れを避けて高台に走って逃げた。巨人がそのマンションを逆さまにし、神社のおみくじのように乱暴に振る。すると、マンションのベランダからいろいろなものが落ちてきた。このうち翼のあるものは上空へ飛んでいったが、人間や家具類は垂直に落ちた。横に漂うのは洋服やお菓子、スーパーの袋だ。助かった僕は呆然と眺める。巨人の上半身は雲に隠れて見えぬ。今朝まで何もなかったのに、何が原因でこんなことになったのか。どこぞの国のミサイルの方が原因がはっきりしていいかもとまで思考する。そこへ別の巨人がいきなり表れ、例の巨人の腕からマンションを取り返し、再度ひっくり返してつまり元の位置に戻し、穴に埋めた。巨人は二人とも消え、ひきつった表情の我々が立ちすくんでいるのみ。こういうのが災厄というべきだろう。次もあるだろうか。




