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No.3 御大召喚
俺はSS作家志望なので星新一から直に批評が欲しい。そこで本職の召喚師の技を使うことにした。呼び出せるのは一回限りかつ一分間だけ。床に魔法陣を描き呪文を唱える。
ノックの音がした。
俺は喜んで原稿を握りしめ扉を開ける。が、見知らぬ中年男が一人。がっかりして「お前誰だよ」と聞く。
「エヌ氏です」
「じゃあお前で我慢する」
自信作を読ませたのに、エヌ氏は突っ返してきた。
「どこがダメなのか教えてくれ」
「全部です」
「ちゃんと読めやごるぁしばくぞ地獄へ帰りやがれ」
殴り合いをしていたら魔法陣から視線がした。なんと本物だ。エヌ氏はぱっと平伏した。俺も平伏しながらも自信作を渡そうとしたが、すでに星新一は首から上になっていた。消える瞬間「良いネタをありがとう」という温厚そうな声が聞こえた。なんでこうなる。
ま、星新一の霊界新作の一つは俺がモデルだ。死後、読むのが楽しみだ。作家修行もがんばるぜぇ。