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No.29 劣等感付自己卑下善人は幸せか
私は通常の半分の聴覚しかなく、聞こえてもその内容が理解できぬ感音性難聴者。何度も聞き返すのは悪いし、筆談も健聴者ばかりなら会話を乱す。結果、内向的になった。こんな私でも文通をきっかけに恋愛、結婚してくれる人が表れた。昔のいじめっ子から「つんぼのくせに結婚なんて」と嫌がらせメールが届いたりしたが、スルーできた。
そして二十年、夫も年を取り怒りっぽくなった。あれほど優しかったのに「何度も聞き返すな面倒だ黙ってろ」というようになった。夫は他に好きな人ができたらしい。こんな私でも結婚というイベントを経験をさせてくれたことに感謝し潔く身をひいた。それからまた二十年たって、今度は夫の四度目の妻から夫の介護をしろといってきた。なんでも夫は脳梗塞の後遺症で話せなくなったという。私は従った。だってこんな私でも世話をさせてくれるから。それに夫を煮るなり焼くなり好きに扱える。だから私、今が一番幸せです。