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No.23 激情
大きな目玉が俺を見つめる。もう一人の俺がその目玉の中にいる。それが嫌で俺は顔をそむける。同居のオカメが忠告する。
「私達は飼主の温かい眼差しのおかげで生きている。尊敬せよ」
オカメは飼主のもとで日向ぼっこをする。オカメが戻り、扉が開いた瞬間俺は外に飛び出す。あぁ空気のおいしいこと。広いこと。あとは羽ばたくだけだ。空へ、上へ。できるだけ太陽に近づく。だんだんと呼吸が苦しくなってきた。この感覚を覚えている。いや思い出した。俺はなぜ森ではなく太陽に向かうのか。できるだけ近づきたいのか。大いなる熱き目玉、太陽の中に、翼に火がつき逆に遠のいていく俺の姿を認めた。あぁ俺はイカロスだった。真っ逆さまに墜落しながらも、今回も精一杯やったと感じた。でもこれあと何回くりかえされるのかな。海の中に頭から落下する俺をたくさんの飼主共が指さして罵り拍手をする。劇場内の海の中に頭から落ちる。またイチから挑戦か。




