6 手応え
3月31日
シーレックス二軍球場でのシーレックス対マーリンズの二軍開幕戦...
まず初回に4番の細山成也がツーアウトニ塁からセンターへのホームランを放ちシーレックスが2点を先制
その後3回に3番田中太郎がワンナウト二三塁から左中間を破るタイムリー2ベースで2点を追加する
先発の中村虎太は6回1失点の好投でマウンドを降りた
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そしてブルペン内では
「ナイスボール、佐々城さん調子よさ気ですね」
と、二年目にしてトップレベルの強肩を持つ増子京介が和人のボールを捕っていた
「やっぱり?今朝から肩軽かったんだよね」
その時ブルペンの電話が鳴った
「はい、もしもし...おい、佐々城出番だから準備しとけ!」
「マジっすか!...よし増子君、最後にカーブ行くよ!」
「あ、はい!」
この日の和人のボールはとにかくキレていた
最初は高めの球かと思ったボールが急に手前で落ち、ワンバウンド
そのあまりの曲がりっぷりに増子はボールを逸らしてしまった
「ご、ごめんなさい!あんまりにもカーブがキレてて逸らしちゃいました...」
「なるほど、そんなに今日の球キレてるのかぁ...オッケー、ありがとう!」
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『七回の表、シーレックスの選手の交代をお知らせします。9番、ピッチャー、佐々城、ピッチャー、佐々城』
(ふー...緊張するけど...1軍にアピールするためにも絶対に抑えないと!)
そしてサイン交換をするためにマウンドに捕手の山本祐太が来る
「佐々城さん、何投げられます?」
「ストレートとカーブ」
「なるほど...え?それだけっすか!?」
「うん」
「えっと...じゃあこれがストレートで、これがカーブって事でよろしくお願いします」
(ストレートとカーブだけって...なんか昭和の投手みたいだなぁ...)
山本が不信感を持ちながら七回表が始まった
そしてこの回の先頭打者は2番加藤
(まずは外いっぱいのストレート)
和人はその要求に頷き、力強く腕を振る
『ストライク!』
(速っ!!手痛ってぇ...)
初球に手を出す事の多い加藤でも手が出ない完璧なアウトローだった
更には自己最速の156kmも計測した
(よし、次はインローのくさいところにカーブ)
その要求にもあっさり頷き際どい所にカーブを投げ込む
真ん中近い所から手前でクッと落ち、バットが出て空振りを奪って追い込んだ
(うわっ!危ない危ない、逸らすとこだった...でもこれで追い込んだ、次真ん中高めに釣り球のストレートで仕留めましょう!)
その要求にもすぐに頷く
しかし、少し力み真ん中高めのボール球が真ん中近くになってしまった
加藤は手を出したが球が手前で思いのほか伸び、バットが空を切り結果的に三球三振
((危なかった...))
と、二人共ヒヤヒヤしたがなんとか先頭を抑えた
そして3番の平澤はセカンドゴロ
4番の安井はフルカウントまで粘られるもカーブにタイミングが合わず三振
和人は一回を三者凡退に抑え、マウンドを降りた
「ナイスピッチングでしたよ!」
「いやぁ山本君のリードのおかげだよ」
「そんな!自分はまだまだなんで...そう言ってもらえるのは嬉しいですけど」
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試合は最終的に6ー2でシーレックスの勝利
試合後
「どうだ?二軍とは言えプロ初登板、手応えあったか?」
と、二軍の満永監督が和人に質問した
「はい!今日はストレートも走ってたしカーブもキレてました!山本君のリードも凄く良かったですし」
「それは良かった...そうだ、そろそろ一軍の試合始まるんじゃないか?」
「え?ほんとだ、寮帰って見なきゃ!監督お先に失礼します!お疲れ様でした!」
「おう、お疲れ様」
(佐々城...あのピッチングが続くようなら早いうちに一軍に合流出来そうだな)
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ネット掲示板にて...
【朗報】佐々城和人、一回二奪三振の好投
1.風吹けば名無し
いけるやん!
2.風吹けば名無し
まぁまだ一試合目だしまだ分からん
3.風吹けば名無し
ストレート速スギィ!
4.風吹けば名無し
156km出てたよな?
カーブも落差エグイな
5.風吹けば名無し
田中太郎、ちゃっかり5打数3安打3打点の大活躍
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56.風吹けば名無し
そろそろ一軍の試合始まるやん
57.風吹けば名無し
【速報】浪川泰介、6番セカンドでスタメン
58.風吹けば名無し
浪川スタメンキター!!!(-^〇^-)