3 三流
眠いね
「…じゃ、インタビューはここまでにして写真撮りますか!」
記者からの質問を答え終えると指名選手達は集合写真を撮影する
笑顔で撮影をしよう、と全員笑顔でカメラを向いていた
一人を除いては
「あ、あのー…浪川選手?もっと笑顔で…」
「あぁ、すいません。笑うの慣れてないので」
それを聞き浪川以外の全員が困惑した
(え?笑うのに慣れてない?)
「む、無理しなくて良いですよ…それじゃ、撮ります」
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そして撮影後、ルーキー同士で打ち上げをした
「…佐々城和人です!これからよろしくお願いします、田中さん!」
「あぁよろしく。年と性別は違くとも同じルーキーとして一緒に頑張ろう」
「はい、年と性…別?…ちょ、僕男ですよ!」
「え…お、男?その見た目で?」
「はい、そんなに女子っぽい見た目はしてないと思うんですけど…なーんかしょっちゅう間違えられるんですよね」
和人の家庭は一男三女であり男一人の和人は髪形をどうすれば良いか分からず姉と同じショートヘアーにしたのだが、それが生まれつきの可愛らしい顔とマッチしてしまい自分自身で違和感を感じなくなってしまったのだ
別に女子になりたいという感情はなく、むしろ男らしくなりたいと思っている
「っていうか…伸長何㎝だ?」
「ひ、168です」
「まぁ野球は身長でやるもんじゃないからな!お互い頑張ろう!」
「はい…」
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その他の選手とも仲良くなったが一人だけ声をかけづらい選手がいた
浪川だ
やはり彼には独特なオーラがあるのか他の選手も彼には話しかけられていない
そこで和人は勇気を出して浪川に声をかけた
「あ、僕、佐々城和人って言うんだ!これからよろしく!」
「…あぁ、よろしく…短い付き合いになるかもしれないがな…」
(暗い!)
「ま、まぁそんなこと言わず、仲良くしようよ!」
「仲良くねぇ…プロってのは潰し合いだ。仲良しこよしじゃやってけねーよ」
「別に仲良しグループで野球やろうって訳じゃないよ。ただ仲良くなろうってだけ」
「だから所詮三流Pなんだよバカが」
流石に和人も大人しくしてられなかった
「なっ…誰が三流ピッチャーだ!」
「実際そうだろ?お前と大学時代バッテリー組んでたやつから聞いたぜ、秋大の準決で捕手の要求無視して直球でごり押し、そんでホームラン打たれてたよな。捕手の言うことを聞けない投手なんて三流以外何でもない」
「そ、それは…」
「ふん…ま、どうせあんたが二軍で燻ってる間に俺は上で大活躍してるからバッテリーを組むことは無いだろうからどうでもいいんだけどな」
「…それは僕の球を見てから決めろよ。一球も僕の捕ったことない奴にそこまで言われちゃたまったもんじゃない!」
「はっ、面白い。じゃあキャンプで是非とも見せてくれよお前の球」
「あぁ、いくらでも見せてやる!200球だろうが500球だろうが何球でも!あぁ、気分悪い!お先に失礼します!」
「俺も失礼します。早く練習したいので」
「お、おう。んじゃまたな…」
「「はい…ってカブッてんじゃねぇ!」」
((ふん、気に入らない奴だ!))
二人の考えとは裏腹に二人が店から出ていくと、
「一周回って仲良くなりそうっすね…あの二人」
と、川畑が口にした