8 初お立ち台とネガティブ
9回表ツーアウトランナー無し カウント2ー2
シーレックスのエース今永昇太郎が投じた125球目の149kmの快速球はカールの4番須々木誠也のバットを空に切らせた
『...空振り三振!!試合終了!!8ー0で今永が開幕戦で125球3安打13奪三振の圧巻の完完封勝利、決勝点はルーキー浪川の満塁弾でした!いやー今日はこの今永、素晴らしいピッチングでしたねぇ』
『そうですねぇ、これぞエースというピッチングでしたね』
『ミスターパーフェクトの牧原さんも絶賛の今日の今永、次の登板も期待しましょう!...そして注目のルーキー浪川は3安打1HR5打点という大活躍!おそらく今日のヒーローインタビューはこの二人でしょう』
しかしその大活躍の浪川は球場の雰囲気とは逆に冷めていた
(ヒロインか...めんどくせーなぁ3安打なんて大騒ぎするほどの事じゃねーだろ)
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『放送席放送席!今日はエースの見事な完封、そしてルーキーの見事なホームランで開幕戦で勝利しました!まずは今永選手に話を聞いてみましょう!圧巻の完封振り返ってみてどうですか?』
「試合前から伊東さんに球がってるとか調子良いとか言ってもらってたんで、そうなんだと思って自信を持って投げました、はい」
『では、完封した時に伊東選手のハグは意識しましたか?(笑)』
シーレックスでは伊東は完封した投手にハグをするというのが恒例となっている
「えっと...まぁ、これが四回目なのでそんなに意識はしませんでした(笑)」
『それでは皆さんお待ちかねの浪川選手にお話を聞きましょう!』
ワーワーと観客が沸いている中、浪川は無表情のまま頭を掻いていた
『初打席で満塁ホームラン...ナイスバッティングでした!』
「ありがとうございます」
『プロ初打席、どんな心境で打席に入りました?』
「チームにとって先制のチャンスだったのでランナーを帰すという事を頭に入れて打席に入りました」
『その意識が満塁ホームランとなりましたね!打った感触はどうでした?』
「打った瞬間でしたね。甘い球だったので引っ張りすぎてファウルになりそうでしたけど」
『これから沢山試合に出ると思いますがファンの皆様に自己紹介をしてもらってもよろしいでしょうか?』
「えっと...こんばんは、浪川泰介です。ポジションはキャッチャーとセカンドとセンターで、持ち前は高い身体能力で、特技は...野球です」
『それでは最後にあの言葉で締めてもらいましょう! 』
(どうします?)
(お前がやれ)
(え、俺がやるんすか?)
(初お立ち台なんだからそりゃそうだろ)
『それでは行きますね..." Grab the crown"!』
「ア、アイラブヨコハマー!」
浪川は少し恥ずかしそうに叫んだ
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一方疲れていた和人、田中達は風呂に入っていた
「あーもう無理だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ浪川に新人王取られるぅぅぅぅぅぅぅぅ」
和人の珍しいネガティブな発言が風呂中に響く
「まだ開幕戦だからそんなのわかんねーだろ」
「だって初出場で猛打賞ですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「浪川の事は忘れて次の試合の事考えろよ!まず一軍に上がんないと新人王とか言ってらんねーからな」
「はいぃぃぃぃぃぃぃぃ分かりましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ったく...てかお前腹筋というか体全体に筋肉全然無いな。よくこんなんで150後半出るもんだ」
「いやーん。どこ見てんすかー田中さんのエッ」
「とりあえずいつものウザいお前が出てきたからいいわ」
和人がいつも通りの調子に戻った所で
「相変わらず仲良いっすねお二人とも」
と二軍の主砲の細山が話しかける
「俺ら仲良い...のか?」
「え?普通に仲良いでしょ!プロスピ毎日やってる仲ですよ!」
「うーん...確かにまぁまぁ仲良いか」
「二軍のみんな仲めちゃくちゃ良いと思ってますよ」
「僕から見ると細山君と山本君もかなり仲良さそうに見えるけどね...てかデカイね細山君のちnグハァ!」
「てめぇどっちがエッチだ!22の癖にデリカシー無さ過ぎだろ!」
「いてて...僕はちんまでしか言ってませんよ?田中さんナニと勘違i」
数分後、浴場で気絶している和人が発見された