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消去
「まったく、手間のかかる子達だったわ」
山を下山していく夜達を山の頂上付近に鎮座している大樹の枝から見据えていた。
そして
山に息吹く冷たい風は女のフードを容易く奪いさった。
宵闇の空に舞う赤髪を手で押さえ、透き通る純白の肌を月光の下に晒す。
女の視線は変わらない、心配に時に無情に山下る三人を見つめる。
そして女は口端をわずかにつりあげ、声を漏らす。
「さようなら……楽しかったわ」
女はそっと踵を返す。
そしてさらに一言漏らす。
「夜」
女は霧に包まれ、姿を消した。
〆\/