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誘意夜桜  作者: 化火富 藍月
現の世界
72/100

三世界の境界

「......止まった」


飛来していた物体は何の前触れもなく動きを止めた。そして夜の後ろには山のように積みかさねられた大量のモグラ。物体の正体はモグラだった。地面ではなく、空間を掘るように進みつづける見たことの無い灰色のモグラ。通常、モグラは地中に巣をつくり、滅多に地上へ出ることが無いため、目は退化している。しかしこのモグラには目玉のような部位が頭部に二つついていた。


ほとんど妖怪のような姿に決してかわいいなどとは言えない。まるで網に引き上げられた深海魚のような凶悪な顔、そしてネズミのような体躯。

大きさもネズミとほとんど変わらなかった。飛んで来たモグラの数は約七百、飛ぶスピードは約百五十二キロ、それが集団でロックオンして飛んで来ればまず避けきれない。


だがしかし


そんな理屈は夜には通用しない。


「......出よう」


夜はこの無限的空間の仕組みに気づいていた。

夜は地面に目印の円をえがいた。そしてその円の中にこれから自分の行く方向の矢印を書く。そして矢印の方向に従い、進む。地面に靴先を引っ掛けながら。ここはある程度進むと、いつの間にか進んだ方向の真後ろに戻ってしまう。そこで夜は境界を探す事にした。


まず、地面に線を引きながらまっすぐに進みつづける、そして、どの位置から戻ってしまうのか確かめる。次に横へ進む、同じく線を引きながら。

そしてどの位置から戻ってしまうのか確かめる。

まず、この行程を夜は終えなければならない。


しばらくして、夜は難なくこの行程を終えた。


前から後ろに切り替わる寸前

右から左へと移り変わる手前


そここそ、そして今、夜が立っている位置こそがこの無限的空間の境界であり、歪みであり、そして三世界の接点。


例え武器が無くとも、夜ならば、人口空間の一つや二つ、紙コップを手で潰すように容易い。


夜は手を前にかざす。

そして、一瞬だけ、手のひらに霊力を集中させる。



瞬間


ビキッというガラスにヒビが入ったような音が周囲にこだました。

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