表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘意夜桜  作者: 化火富 藍月
現の世界
63/100

達成した約束

「なっなにを!!」


「まぁ、見てなさい、見物よ」


夕闇は歩きざまに手をプラプラ振りながら向かっていく。ここから小川まではそう遠くない。せいぜい五分といった所だろう。男は熱で某とする頭の中で必死に思考を育てる。


すると、戦う前に夕闇が小川に手を入れていた事を思い出した。


一体あの時何をしていた? 川が沸騰?

何故そのような事を? 疑問は次から次へと

泡のように出ては消えてを繰り返す。そんな時


「さあて、そんじゃあ夕闇ちゃん伝説の幕開けよ」


両手を小川にドップリ浸ける。固まった血は溶けて水中に赤い硝煙をもくもくと上げた。

小川全体が沸騰するのにおよそ三分。目的が

起こるまでそれから五分。合計八分。

敵が体調を回復するまではおよそ三十分。

余裕だった。


そしてあっという間に三分は訪れた。小川は

ボコボコと泡を吹き始める。


そして、四分が経過。辺りに地響きが唸る。


「なんだ! 何が起こってる!?」


男は動揺に捕らわれていた。

これから起こる事を知れば動揺は絶望に変わる

だろうに。


そして、一分が経った。



ドオオオオオオン!!!!!



神の怒りか、それとも悪魔の咆哮か。

古代の人々、動物達はそれに成す術もなく大量虐殺を受け入れるしかなかった。


そう、噴火だ。


火山は噴火する際、ガスと熱、そして大量の

水蒸気を噴出して起こる。


そして噴火する原因は地中が熱せられて対流を起こし、地底の熱土が上へ上と押し上げられて起こるのだ。


夕闇がやった事はこのような手順。


まず小川を沸騰させる。次に山の原水全体を沸騰。わずかな対流が起こる。無論それだけでは

噴火など不可能。しかしあらかじめ夕闇は


「山火事って怖いわよね~、それに山の天気って結構変わりやすいのよね~」


「山火事? 天気?」


ポツ


山を濁った雲が覆っていく。雨だ。それも特大の。


「 雨雲なんて無かったのに........熱っ!? 」


雨が異様に熱い。皮膚に触れた箇所が一瞬で赤

くなった。男はフラフラと木陰に逃げ込む。

しかし男には分からなかった。夕闇は天気が変わると何故分かったのか。


「当然よ、私が呼んだんだもん」


夕闇は当然と言わんばかりに言葉を紡ぐ。

男はさらに理解不能の迷路に迷いこむ。


「だ、か、ら、山火事よ!山火事!」


「山火事?」


夕闇はここに来る前に森林を焼いた。しかし

焼くことが目的だった訳ではない。本当の目的は空気を乾燥させる事が本当の目的だった。


上空の空気は乾燥すると乱気流を連れてくる。

その乱気流は雨雲を連れてくる。雷も一緒に。


「って事よ!」


そして、その雨はある一定の距離まで降下する

と熱を帯び始める。これは夕闇の力で作った領域。そして山を雨熱で更に温める。蒸気も同時に発生するのでさらに熱を帯びる。そして止めの家紋だ。


「家紋?」


「私達一族の家紋は簡単に言うなら許可証

のようなものなの、一時的に神力を借りるね」


ちなみ今回は木花咲夜姫様だ。


「ご理解いただけたかしら、野良蛇さん」


男は某然としていた。


山は大きく鳴動する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ