55/100
叶わず
焼けた森を抜けて歩くこと数十分。
ようやく下の小川に戻る事ができた。
「よし、これで“二つ目”」
向こうの雑木にきざみつけた家の家紋。
そして焼けた森の跡地。
残るはあと一つ。
私は“それ”をやる為に小川まで戻ってきた。
「さてっと」
朝達が来る前にやらないといけない。
私は足元に流れる小川にてをそっと沈めた。
小川の水は氷水と間違えるくらいに冷たい。
でも私はそれをぐっと我慢する。
「あと少し、あと少し!」
本当にあと少しだった。
◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆
「あ~ イライラする!」
あのクソガキ。
どうやってるかは分からねぇが
上手い事、自分の歩いた痕跡を消してやがる。
匂いもしねぇ。
「チッ」
地道に探すしかねぇか。
どうせあの傷だ、この山を下り出るのは無理だろ。
とりあえず
「小川に戻るか」