表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘意夜桜  作者: 化火富 藍月
現の世界
52/100

二人を待つ

深い霧に包まれた広地。そこに佇む影が一人。


「あらあら、放火なんていけない子ねぇ」


ひんやりとした濃霧の向こうにいるのは

紺のローブで身を包んだ女性。顔は外から見えぬようフードを深々と被っている。


「でもそれで、何の役に立つのかしらぁ」


女は胸の少しまえで浮いている鏡に向かって

余裕の笑みを含んだ無駄と言わんばかりの

言葉を放った。

浮いた鏡身には森を燃やしている夕闇の姿が

監視カメラのように写っている。


「ご当主様はこちらで手一杯、無駄よ」


女は鏡をローブの内側にしまう。

そして先の見えない霧の向こうへ姿を消した。


◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆▼◆


灰と炭しか無い森だった場所。

そこをポサポサと踏み鳴らし進む夕闇。

彼女は先程役目を終え、次の行動に移っていた。


「......やり過ぎたかも」



夕闇は歩んでいる足を止め

周りをキョロキョロと見渡し、苦笑を露にする。



「でもまぁ......いいか」



地面の灰砂を右手でひとすくい。

灰はまだほのかな熱を帯びており少し温かい。

そしてすくった右手の上に積もる小さな灰山を

風にさらし、灰風を野に舞わせた。



「これで私の役目は終わり、後は夜と朝だけ」



夕闇は止めた足を再び前に運ぶ。

しかし偶然にもその先には......。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ