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合図
血の雫がポタリポタリと滴り、白い花を血塗る。
「痛ッ!、さすがにやりすぎたかも......」
血元は朝の腕から流れていた。
大きな樹木に背もたれ、腕の傷口に手を当てて
うずくまっている。
「でもまあ、準備は整った」
朝はポケットからハンカチを取りだし
ビリビリと破きながら傷口に巻き付け
応急措置を済ませた。
「後は待つだけだ、頼んだよ夕姉」
朝は無限に広がる夜空に顔を向け
目を閉じながら宝石のような輝きを放つ星々に
姉の無事と成り行きを祈った。
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不気味を醸し出す暗い木々を抜けた先は崖。
山の中腹から辺りを見下ろせる程に高い。
しかしやはり人を探すには遮蔽物が多すぎる。
「さぁて、始めましょうかね!!」
瞬間
周囲は赤い光に包まれた。