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思考の川
群雲の隙間から月がこちらを覗いている。
なんだか人の視線みたいで気持ちが悪い。
私は月を睨むように見つめる。
夜の白い太陽はあわてて雲に隠れた。
「......静かねぇ」
静寂は人を考えさせる。
他の選択肢が無いからだろう。
だが私は無心に歩を進めた。
しかしあまり長くは続かなかった。だって
思考の川に静寂が溺れるから。
私は膝下まで隆起した木の根を飛び越え
向こうの小川に足を運ぶ。
三メートル程の小川。触るとやはり冷たい。
「ここを中心に探そう」
私はまず拠点を作る事にした。