表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘意夜桜  作者: 化火富 藍月
現の世界
41/100

起床

重い瞼がゆっくりと開いてゆく。


「ん......」


夕闇は窓ガラスを貫く陽光を思わず手で遮り

まだ薄目がちのぼやけた視界で辺りを見回した


徐々にはっきりと原型を留めていく視界の中で

見慣れた景色がその赤色の瞳の中に写っていく


「......は?」


視界に映ったのは自分の部屋だった。


「夕姉ー!」


目の前の光景に困惑を隠せず

その場に立ち尽くしている夕闇の耳に

聞き慣れた声がこだまする。


「朝!?」


全く状況を読めていない夕闇に次々と

追い討ちをかけるように新たな情報が

夕闇の頭を占めていく。


「母さんが呼んでるから今すぐ居間に来てー」


朝は用件を伝えるとトタトタと廊下を

踏み鳴らし居間の方へ行ってしまった。


「......どういう事?」


まるで狐に化かされたような気分のまま

とりあえず部屋を出ようとドアの方へ足を運ぶ


「何だったの......あれは......」


ドアを開けるとそこにはいつも通りの風景

L字型の廊下を曲がると居間はすぐそこにある

少し警戒しながら廊下を進むが


何も起こらぬまま居間へ辿り着く

居間への襖を開けると、そこには三人いた

母と夜、そして朝だ


「おはよう~夕ちゃん」


母はゆったりとした口調で挨拶を交わすが

目はいつになく真剣で鋭い

その姿に少し驚くが、襖を締め

空いている座布団の上に正座する夕闇。


「お話があります」


空気が凍てついく

ここにいる全員それを感じているだろう

決して冗談や悪戯が通じる空間では無いと


「夢を見たでしょう?」


開口一番、母からの第一声がそれだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ