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嵐の前触れ
「.....埒があかないわ」
そう呟くと、夕闇は赤色の瞳で朝の目を
じっと見つめた
「.....了解」
朝はその目を見て瞬時に理解した
例え口で語らずとも
行動やジェスチャーで意思を示さずとも
その燃える様に煌めく赤色の瞳が
何を物語っているかは悟るように分かった
そして朝は即行動に移す
「タイミングは俺が作る」
朝は右足を一歩前へ運び
両腕をダラリと垂れ下げ
斧を上目でギッと睨む
「了解、じゃあ任せた」
夕闇は右足を一歩後ろへ運び
そのまま音も無く去って行った
「...」
相変わらず気配消すのが絶妙にうめぇ
一歩退がったと思ったらもうどこにもいねぇや
フフッ頼もしいねぇ
とその時
ベギッ
突如斧の刃に亀裂が走る
亀裂はみるみる斧全体に広がっていき
斧はボロボロと崩れ落ちていく
「...」
何だ?斧の刃が割れて...
朝は目の前でベキベキと音を立て
崩れ落ちる斧の様を静視していた
次の瞬間