夜という存在
ドゴッバキッバキバキバキッヒュッドン!!
「ハァハァハァ」
なんとか!、なんとかこの場から逃げないと...
ベキョッ
生親津の真上に竹が勢い良く五本倒れてくる
「チッ!こんな物当たる訳ねぇだ.....!」
ストトン!
「ぐっ!!」
生親津が避けようとした矢先
手裏剣が生親津の足に2本刺さる
「糞が!!!」
こんな物すぐに抜いて.....
ドズッ
「ゲボォ!!」
手裏剣を抜こうと手を伸ばした瞬間
待っていたかの様に生親津の
みぞおちに一撃加える夜
「.....」
...............…。
「野郎ォ!!あぁァ!」
攻撃を喰らって間髪入れず反撃するが
全て避けられてしまう
そして5本の根元を折られた竹が
ドミノのように生親津に倒れ掛かってゆく
夜はすでに竹の当たらない所まで下がっている
「うぐッ!」
駄目だ...避けきれない
何とか体を反らして4本までは避けられたが
最後の一本は避けられなかった
「ガハッ!」
痛ッ!なんて奴だ...
かすりもしないとは…しかもずっと表情が同じで
何だか不気味だ.....
夜はどちらかと言えば、
余り感情が豊かな方では無い
幼少の頃から泣いたり笑ったりするのは極稀で
親も心配してしまう程である
「...君達の親玉はどこ?」
ゆっくりと落ち葉を踏みしめ
歩を進めながら生親津に問いかける夜
「さぁね、知らないな」
遠くにいるのに、こんなに離れてるのに
なぜこうも体がすくむ?
木々や竹の葉が風でざわざわと騒ぎだし、
木の葉が空中で踊るように舞い散っている
空からは日光が木々の隙間を貫き、
辺りには木漏れ日が突き刺さっているように
光の柱を映しだしている
しかし
そのような美しい穏やかな空間の
景色には目もくれず、
こちらに落ち葉をゆっくり踏みしめ
歩いてくる絶世の存在に
思わず目を向けてしまう
大きく深い藍色の美しい瞳
柔く艶と張りのある白い肌
枝毛一つ無く風に揺らぎ舞う美しい藍色の髪
通った鼻筋 艶やかな唇 長い睫毛
悪い所が一つとして無い
絶世の美女とはこのような存在に対してのみ
使う言葉なのだろう
生親津分身ノ命は先程まですくみ震えるほどの恐怖に体を支配されていたが、
いつの間にか体の震えは止まっており
体が自由を訴えていた
そして
目の前の絶世の存在に
思わずしばらく見とれていた