不毛
「ねぇ」
夕闇が牛頭に唐突に話しかける
「あ?」
牛頭は疑問そうに聞き返す
「もう終わりにしましょう」
これ以上は不毛だわ
「.....ああ、そうだな」
さっきの火が気になる
さっさと終わらせて向こうを調べるか
「名乗らせて貰うわ」
朝は後でうんとお灸を据えてやるわ
「じゃあ、俺も名乗らせて貰うぜ」
俺達はあくまで偵察だ
出来る限りの情報を揃えて“あの方”に渡す
それが俺達の任務、邪魔者はその場で消す!
「我は誘意 夕闇 【夕】を司り使役する者だ 」
.....。
オオズルノナゲキリ
「【大頭留ノ嘆外切】だ」
誘意.....。確か“あの方”が言ってたな
『誘意という名前が出て来たらすぐに
逃げなさい、貴方では到底話にならない』
ってな.....。
「上等だ!!」
“あの方”は俺を見誤ってる
だから今回とことん見せつけてやるよ!
俺様の本当の実力をなぁ !!!
ィィィィィィン
その音は耳鳴りのように牛頭の耳に響いた
「?」
何だ?
何か変な音が聞こえ.....あ?
何だ何だ!?地面が.....傾いて...来て.….....
ドチャッ
何とも形容しがたいその音を発した“それ”は
目を見開き、口を開け、舌がゴムのように
ダルンと垂れ下がっていた
ブシュゥゥゥ
三秒くらいして“残った方”は真っ赤なしぶきを
噴水のように飛ばした後
やがてバランスを崩し、膝から崩れ落ちる
「悪いわね、私これから学校なの」
コイツの情報はあの斧と体を調べれば分かる
コイツにはもう価値がある情報が無い
問題は今日の深夜ね、奴らが来る!
「学生の本分は勉強勉強っと♪」
とりあえず合流しやすい朝の方に行くか