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誘意夜桜  作者: 化火富 藍月
誘う夜桜
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朝焼けの空

ふぁ~~あ


豪快に口を開けてあくびをする朝


「いねぇ~~なぁ~夜姉ぇ~」

ついでに夕姉もいねぇし.....

夜姉ならともかく夕姉までいないとはなぁ…。


「まぁあの二人なら大丈夫だろうけど…」

でもほっとくのもなぁ…

巻き込まれてるのは明白な訳だし…。


「う~ん、どうしよっか」

自力で見つかるか?二人の行きそうな場所は?

ひょっとしてもう学校に行ってる?

いやいやそれは無い無い

………


「“アレ”使うか?」

そっちのが効率的だしな、

それに一応緊急事態な訳だし……。

....................…。


「やむを得ない…かな」

母さんからはむやみやたらに

使うなと言われているが…

これは緊急事態、早急に対処すべき事柄だ

それに万が一、二人の身に何かあったら.....…。


よって!


我が意思の下、事態の鎮圧を最優先させて貰う


「そうと決まれば…」


朝は背負っていたリュックから

一つの黒い布袋を取り出した

布袋には燃え盛る炎の刺繍がしてある


そしてその布袋の中から

高級感漂う黒い艶のある漆塗りの加工を施した

和箱を取り出し、箱を丁寧に開けていく


箱の中には外部からの衝撃で傷がつかぬよう

スポンジのような物で包まれた

二つの短刀が入っていた


二つの短刀の内


一つは刀身が鮮やかな緋色でとても美しく、

刃紋が燃え盛る火の如く独特の形をしており

まるで生きているかのように脈動している


そして


もう一つは真黒の短刀

刀身は一切光らず、刃紋も真黒そのもの

まるでこの世の闇が一ヶ所に凝縮され、

刀の形に治まったかの様な姿だ


「二人の安全の為、使うしか無いでしょ」

朝は自分にそう言い聞かせて

箱の中の双刀に手を伸ばした


「..........。」

これを使うという事は…

既に“来ていた”って事だよな

出遅れたのはこっちか.....…。くそっ!


まぁ今はとにかく二人の居場所だ!

急ごう


朝は箱の中にある二つの短刀を両手に持った


右手に緋色の短刀


左手に真黒の短刀


そして静かに目を閉じる


自分の意思が、神経が、魂がこの双刀

に宿り、張り巡り、籠るイメージを

何度も頭の中で繰り返す


そして


ドクン


「.....!」


双刀はそれに応える


緋色の短刀は朱い煌めきを放つ


真黒の短刀は黒い煙が立ち昇る


「我が誘意の御霊に雄々しく応えたもう」


朝は両手に持った短刀を頭上に掲げ、

敬意と畏怖の念を込めた双刀の名を

虚空に言い放つ


「蔵王」

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