死神は無慈悲に
ハァッハァッハァッ
「~~ッッ!!」
くそっ!!
なんなんだよ!あいつ!!
木の影に隠れ、荒くなった息を整えながら
思わず敵の愚痴をこぼした
フッ
「うっ!」
突然目の前に現れた夜に驚く<何か>
ビュオ
三メートルある布袋で横に一閃する夜
「クッ!」
大丈夫!
ギリギリ避わせる
<何か>は上半身を後ろに折り曲げ
逆くの字の体勢でなんとか攻撃を避わした
バギャッバキバキバキ
隠れていた後ろの木に攻撃が当たり
まるでウエハースを横からバットで叩いたよう
に木は簡単に切断された
ドォーン!!
切断された木が空中で斜め横に傾きながら
そのまま地面に叩きつけられるように落ちた
「ッ!」
ここは竹林だぞ!
周りには竹が生えまくってんだ!!
普通の剣ならまだしも、あんなくそ長い物
ぶんぶん振り回せるはずないのに
あいつはずっとそんなのお構い無しに
攻撃してきやがる!!
「.....」
夜は振り終わると布袋を瞬時に引き寄せ、
体を捻り、布袋を大きく掲げて
重く力強く降りおろす
「ッ!!」
これは.....さっきのより...重いな!
逆くの字の体勢からそのまま地面に手を着き
手で逆立ち、そして後ろに跳び、横に転がる
ドゴォ!!!
「ぐぁ!!」
直撃は避けた.....が風圧で吹き飛んでしまった
危な.....かった!
夜の放った一撃は予想よりも重く
地面に当たった瞬間
まるで隕石が落ちたかのような強重な衝撃と
台風が押し寄せて来たかのような激しい烈風で
周りにあった落ち葉や石、竹などが一瞬で
吹き飛んでしまった
当たった地面は表面を
スプーンでえぐられたカップアイスクリーム
のように5メートル程のクレーターが出来ていた
「.....」
夜は相手を睨み殺すかのような鋭い視線で
<何か>を見つめた
「う...」
ゾクッ
恐怖、悪寒、後悔、それらが私の
体を瞬時に支配し震えあがらせた
そして同時に思ってしまった
いや、そう見えてしまった
「死神.....」
死神..... と。