葉
ハァッハァッハァッ
「ここもダメだ~もぉ~どこに行ったの~
夜様~!!」
いつも行ってる本屋さんにも居られないし........
まさか...事故にでも遭われたんじゃ...
「...いやっそれは無いな、うん」
夜様が事故に遭うなんて事はまずありえない
それは夕闇様も同様
お二方には『あの力』があるもの
じゃあ一体どこに?
夜津葉は腕を組み、顎に手を置きながら
記憶に思考を張り巡らせた
そもそも何で今日は早く家を出たのか
新刊の本でも買いに行った?
いや、時間的にそれはありえない
あの方は本を買う前に周りの本を眺めたりする
私が行った時間と計算しても十分間に合うはず
つまり最初から行っていない
「じゃあどこへ…」
考えられるは『アレ』が関与している事
だとしたら一刻も早く探さなくては...
しかし手掛かり無い以上迂闊には動けない
ならばここはあえて待つ事にしよう
あの方に限って起きたら手遅れなんて事は
まず無いだろう、それはあの方を知る者なら
誰だって知っている事だ
焦るな、力むな、冷静になれ
夜津葉はそう自分に言い聞かせると
全神経を集中させ詠唱を始めた
「 私は水面 小さき波紋も 感じ取る 」
短い詠唱を唱え終わると夜津葉は少し
ぐったりしていた
「この技は神経をすり減らし過ぎる.....」
この技は体内の神経を刺激し、
第六感を極限まで高める事が出来る技
その代わり終わった後それなりに地獄を見る
当然と言えば当然である、普段使わない神経も
強制的に起こして酷使させるのだから
「けど...これで遠くに居ても探せる」
急がないと...