表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誘意夜桜  作者: 化火富 藍月
現の世界
100/100

狐は狡猾に兎は鋭敏に

それは妖々と光っていた。


まわりに舞い散る紫の花びら、ずっしりとした体幹はとてつもない年月の経過を感じる。


私の目にうつったのは一本の桜の樹だ。


私はその桜の樹に歩みをよせた。

他にあてが無いのもそうだが、何よりも呼ばれている気がしてたまらなかったから。


しかしすぐに違和感に気づく。


いくら歩いても桜に近づかない。ていうか遠ざかっている。

いくら走っても、慎重に歩を進めても、全く近づいている気配を感じない。


私は疑問の嵐だった。


息を切らして下を向いていた。

そんな時、ふと気づく。


「 あれ? 」


地面が芝生ではなく濡れた落ち葉に変わっていた。

慌ててまわりを見直す、するとさっきまで雨宿りしていた場所に私はたっていた。


首をグリングリンと左右にふって軽いパニックに陥る私。

天気、ばしよ、気温なにもかもが違っていた。


私は底知れぬ恐怖に大雨の中をひたすら走った。


我が家まであと数十分。ただひたすらに駆けた。


そしてそのかいあって、私はようやく我が家の前に辿りつく。

見慣れた表札、見慣れた風景が私を心底安心させてくれた。


ただ一つをのぞいて。


「 ……またお会いしましたね、露火 真狐兎さん 」


私はこの時、なぜか胸がむしょうに熱くなったのを覚えている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ