しん…………
耳を澄ます
音が聞こえる
誰もが聞いていた音
海なら波の音
山なら小鳥や獣の鳴き声
森なら虫の音 葉の香り
寝静まり暗い 子の息
営み 人の喧騒
闇夜 烏は飛んで行く
何も無い向こう側 電子音
脳 貯めた少女の声
響 ひとり男は泣く
深夜に喘ぐ機械の画
眺める男女の擦れる音
走る鉄箱は笛を吹く
今日も世は音に満ち
醜く艶やかに照らし出す
小鳥の囀り 鶏の鳴く
気怠い子供たちの話す
悲嘆の詩は どこか楽しげで
耳を澄ます
音が聞こえる
幸福だろうか
今を聞くものたちは