表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

ネコ型ロボット、ネココ工場

作者: 星馴染

開いて頂きありがとうございました。

 愛玩用猫型ロボット、ネココが開発されてから一年。

 人工知能で本当の猫らしく振る舞うその可愛らしさ。

 値段が手頃であった事から、皆がこぞって購入した。


 動力は太陽電池である。食べ物を食べ、体内の機械でミンチにして排泄する。

 リアリティを追求した究極のロボットだ。


 そんなネコ型ロボットを作る工場で、二人の青年が工場ラインを操作していた。

「先輩、今まで気付かなかったんですけど、これってネココの部品なんですか?」

「そうだよ」

「へえ、これがあの大ヒットしているネココになるんですね」

 機械はうなりながら、コンベアから毎分何百もの緑色の猫の頭部を作って送っていく。


「ブームが終わる前にたくさん作らないとな」

「そうですね、先輩!」


 数年後、ブームは終わった。

 街は捨てネココが溢れていた。皆はこの愛玩用猫型ロボットに飽きてしまったのだ。


「先輩、最近ネココラインが止まる事が増えましたね」

「街を歩けば拾えるし、新しく買う必要も無いしな」

「でも作るんですね……」

「仕事だからな……」


 エコだからと太陽電池で動かすようにしたのが間違いだった。

 都会は光に満ちて、電池が切れる事もない。

 彼らは群れて、街中を走り回った。ネココは社会問題になり、マスコミに取り上げられ始めた。


「……先輩、部品が変わりましたけど、これってネココの部品ですよね?」

「そうだよ」

「最近生産止まってたのに、また大量生産するんですね。

しかし、この工場は社会問題になってるのに、なんで作るんですかね……」

「頭の色が青色になってるし、新製品なんじゃないか?」


 青色の頭部が次々と作られる。

 少し先のラインでは延々と一部の部品をショートさせる機械が動いていた。


『新製品、捨てネココを駆除ネココ』

 駆除ネココを放すと、ネココを捕獲する。食料を見分けるチップの一部がショートさせられ、

初期ネココを与えられた餌だと認識するようにさせたのである。


「先輩、駆除ネココがブームで売れてるらしいですよ。増産らしいです!」

「ブームが終わる前にたくさん作らないとな」

「そうですね、先輩!。でも、これが捨てられたらどうなるんでしょうね」


「……実は青色のネココを駆除する黄色のネココが生産予定に入ってるんだ」


「その黄色のネココが捨てられたらどうなるんでしょうね」

「その時は初期の緑ネココが黄色のネココを駆除するようになってるから問題ないらしい」

「なるほど、黄色のネココが社会問題になる頃には初期ネココは絶滅してますね!」


 猫達の頭部は、今日も毎分百個の勢いで作られていく。

 少し先のラインは枝分かれして、青色、黄色、緑色の着色ラインへと同じ割合で流れていく。


読んで頂きありがとうございました!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 良くできたショートショート ゾッとした [一言] ちあき堂からきました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ