ネコ型ロボット、ネココ工場
開いて頂きありがとうございました。
愛玩用猫型ロボット、ネココが開発されてから一年。
人工知能で本当の猫らしく振る舞うその可愛らしさ。
値段が手頃であった事から、皆がこぞって購入した。
動力は太陽電池である。食べ物を食べ、体内の機械でミンチにして排泄する。
リアリティを追求した究極のロボットだ。
そんなネコ型ロボットを作る工場で、二人の青年が工場ラインを操作していた。
「先輩、今まで気付かなかったんですけど、これってネココの部品なんですか?」
「そうだよ」
「へえ、これがあの大ヒットしているネココになるんですね」
機械はうなりながら、コンベアから毎分何百もの緑色の猫の頭部を作って送っていく。
「ブームが終わる前にたくさん作らないとな」
「そうですね、先輩!」
数年後、ブームは終わった。
街は捨てネココが溢れていた。皆はこの愛玩用猫型ロボットに飽きてしまったのだ。
「先輩、最近ネココラインが止まる事が増えましたね」
「街を歩けば拾えるし、新しく買う必要も無いしな」
「でも作るんですね……」
「仕事だからな……」
エコだからと太陽電池で動かすようにしたのが間違いだった。
都会は光に満ちて、電池が切れる事もない。
彼らは群れて、街中を走り回った。ネココは社会問題になり、マスコミに取り上げられ始めた。
「……先輩、部品が変わりましたけど、これってネココの部品ですよね?」
「そうだよ」
「最近生産止まってたのに、また大量生産するんですね。
しかし、この工場は社会問題になってるのに、なんで作るんですかね……」
「頭の色が青色になってるし、新製品なんじゃないか?」
青色の頭部が次々と作られる。
少し先のラインでは延々と一部の部品をショートさせる機械が動いていた。
『新製品、捨てネココを駆除ネココ』
駆除ネココを放すと、ネココを捕獲する。食料を見分けるチップの一部がショートさせられ、
初期ネココを与えられた餌だと認識するようにさせたのである。
「先輩、駆除ネココがブームで売れてるらしいですよ。増産らしいです!」
「ブームが終わる前にたくさん作らないとな」
「そうですね、先輩!。でも、これが捨てられたらどうなるんでしょうね」
「……実は青色のネココを駆除する黄色のネココが生産予定に入ってるんだ」
「その黄色のネココが捨てられたらどうなるんでしょうね」
「その時は初期の緑ネココが黄色のネココを駆除するようになってるから問題ないらしい」
「なるほど、黄色のネココが社会問題になる頃には初期ネココは絶滅してますね!」
猫達の頭部は、今日も毎分百個の勢いで作られていく。
少し先のラインは枝分かれして、青色、黄色、緑色の着色ラインへと同じ割合で流れていく。
読んで頂きありがとうございました!