大狼VSいぬたまっ!
大狼はゾロリと恐ろしく鋭い牙をむき出しにしている。
あれに噛まれでもすれば一撃で天国に逝けるだろう。
しかしそんな事ばかり考えていては恐怖が増大していくだけだ。
おれは背中に背負っている銀の斧を口に咥えた。
いふぅろふぁふぁほぉふぁふぃ!!!(行くぞばかおおかみ!)
おれは大狼に向かって走りだした。
そして空中に跳んだ。狙いは頭部!一撃で始末してやる!
おれは口に咥えた斧を思い切り大狼に向けて振り下ろした。
だが健闘むなしく、いくら大きいとはいえさすがは狼。
華麗なバックステップにより俺の攻撃はあっさりと躱されてしまった。
それどころか、攻撃を外し、隙のできたおれに如才無く
鋭い爪を振り下ろしてきた。
もうだめかと思ったその時、赤い膜の様なものが俺の目の前に現れ、
大狼の爪はそれに弾き飛ばされた。
「!?シービーの魔法か!」
シービーがドヤ顔している。
「えーちぃフィールドの魔法だよ!要はバリアだよ!」
そうか、そんな便利な魔法が使えるなら先に言え、
と思ったが口にはださなかった。
とにかくやつの一撃は防いだ。反撃だ。
前に出ようとしたその時、プス太がそれを制した。
「待ってくださいいぬたまさん、ここは僕に任せてください。いいアイディアがあります。」
「プス太!アイディアというのは!?」
「僕がわざとやつに飲み込まれます。そして僕の剣技でやつのおなかの中から直に攻撃します
完璧な作戦です。英雄と呼んでください。(キリッ」
なんかいかにもありがちな作戦だが、そんな都合よく行くのか?
まあいい、ここはプス太に任せよう。
「来たまえ狼君!僕をたべてm」ぱくぅっ!
「あっ……早くも食べられとる」
プス太がセリフを言い終わる前に食べられた。
まあ、しかしここまでは作戦通りだ。後はプス太がおなかの中から攻撃するのを
待つだけだ。
「…………」
…………………………………………
「ね、ねぇなんか遅くない?大丈夫かな……」
「ん?まあだいじょぶだろ、そのうち始まるさ」
ふと辺りを見回してみると、地面に見覚えのある物を発見した。
銀色に輝き、切先はとがっていて、取っ手には金色の模様が刻み込まれている。
うん、レイピアという武器だ。
「…………うわぁぁぁあいつ武器忘れてるじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!」
正確にはたぶんのみこまれる時に落としてしまったのだろう
「やばい、シービー!なにかいい魔法はないのか!」
シービーは一瞬考えたが「ない!」と、元気に言った。
こうなればいよいよ大狼を倒してプス太を救出するしかなさそうだ。
「シービー!良く聞け、おれは今からやつに渾身の一撃を繰り出す。
その間になんでもいい、役に立ちそうな魔法を唱えろ!」
シービーがうなずいたのを確認して、おれは大狼に向かって突撃した。
やつの顔面はだめだ、視界の外からでなくては。
おれは猛スピードでやつの懐に飛び込んだ。そして銀の斧を口に咥え、
もう一つ、金の斧を尻尾で掴んだ。
いぬたま二刀流の完成を見た!
「行くぞ!犬魂二刀流奥義!斧二連続攻撃!!」
うわ、そのまんまじゃんと自分で言って思ったが、技名を考えてる時間が
なかったからしょうがない。誰にも聞かれなかった事を祈ろう。
そしてシービーの呪文もかかる
「Za・ワールド!!」
その瞬間時が止まった。といっても俺とシービーは動けるようだ。
すごい魔法だ。むしろチートだろこれ。
これなら大狼の動きがいくら早かろうと、おれの攻撃を躱す事は出来ない。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
そして時が動き出した。
・大狼にクリティカルヒット!3500のダメージ。
大狼は気絶した。
大狼はズドォォォンと横に倒れた。
そして血と一緒にプス太を吐き出した。
「プス太!生きてたか!」
「不覚!僕とした事が武器を落としてくるなんて……はっ!大狼はどうなりましたか!?」
俺達二人のドヤ顔を見て、後ろを振り返った。そこに倒れている大狼。
察したようだ。プス太は大きくため息をついた。
「しかし、プス太血まみれだな。おどろおどろしいぞ」
しかしプス太は意外な事を言った。
「うーん、でもこれ血じゃないみたいです。もっと別の……嗅いだ事のある臭いなのですが……」
たしかにプス太からは血の臭いは全くしない。そうこれは……これはまさか!
おれはプス太についた血を舐めてみた。
「こ、これは!ケチャップだ!!!」
←To be continued




