名の重み
名を告げられたことにリーフは動揺した。
見る見る青ざめていく顔をリーハは面白そうに見ていた。
「似ているだろう?」
(この人は知らないのだろうか?)
そうリーフが心配してしまうほどに気軽にリーハは名を明かした。
相反するものだといっても名の重みに変わりはない。
人間達と違って彼らの名とは魂までも縛りかねない重要なものだ。
決して軽々しく教えていいものではない。
「名を・・・・告げてしまうのですか?」
驚きに目を見張るリーフにまたも面白そうに笑い、リーハはリーフを見つめる。
「先に告げたのはお前だろうに、リーフ・シェラン。それはお前の名ではないのか?」
なんの拘束も乗せずにリーハに名を呼ばれたリーフはまだ紅の戻らない顔でふわりとわらった。
「・・・お前は本当に面白い。だから今は何もせずにおこう」
そう言うとリーハはリーフに背を向け歩き出す。
向かう先に闇が集まり出しそのまま去ってしまうのだと気づいたリーフは慌てた。
「分かっておいでなら次からは名で呼んでください」
闇をまとわせながらも立ち止まり振り返ったリーフは微笑みながらうなづいた。
「そうしよう。互いにな」
言葉の響きだけを残してリーハは去っていた。
そのあたりを見つめながらリーフも微笑んだ。
「ええ、分かりましたわ」
リーハ・・と心の中でつぶやくと彼女も立ち上がり帰っていった。
自らの住まう神域へと。