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プロローグ 〜運命の出会い〜

閲覧ありがとうございます。

本作品は脱稿済みの物語のため失踪の心配がないことを予め宣言させていただきます。

毎日0時に更新していきますので、よろしければお付き合いくださいませ。

「――どこだ、ここ?」


 僕、天乃宇宙あまのそらは周囲の見慣れない景色に戸惑っていた。


 黒く無機質な部屋。床や天井には青紫に輝く魔法陣みたいな模様が浮かび、小さな窓の外には数多に輝く星と雲海がどこまでも広がっている。まるでどこかの宇宙船の中にいるみたいだ。


「ようこそ我が浮遊要塞オブリオンへ。お前はこの私、世界の守護者である魔王ルシアに召喚されたのだ」


 背中に少女の声がかけられた。振り返った僕は思わずそこに立っていた人物に目を奪われてしまった。


 そこにいたのは、月の光を纏ったような銀髪をなびかせた、深緑色の瞳が印象的な美少女。僕より頭一つ低い身長としなやかな体。その服装は漆黒のドレスに星と月のスパンコールが散りばめられていて、まるで月のお姫様みたいだ。


 そして頭と背中に生えた金色のねじれた角と、神聖なドラゴンを思わせる純白の翼は、その美しさを際立たせると同時に、少女の魔性の力を物語っていた。


「魔王? 召喚? ……えーっと、ごめんだけど僕明日テニスの大会なんだ。夢なら早く覚めてほしいんだけど」


 青春をかけると決めたソフトテニスの大会。朝練するために運動ジャージのままベッドに潜った僕は、そのままの格好で少女の前に立っている。


「諦めろ。お前が元の世界に戻る方法はない。お前にはこの星ピートユアを侵略している忌まわしい宇宙人――アグレイと戦ってもらう」


 冷徹な目で淡々と意味不明な言葉を続ける少女。僕より小さな身長だが、態度は魔王らしくビッグだ。


「いやいやいや、意味分かんないし明日早いから無理。それに……」


「黙れ」


「ひっ」


 少女の冷たい一声に身がすくんだ。その体と雰囲気は本当に魔王のような威厳と威圧感が溢れている。


 少女がカツンカツンと足音を鳴らし、ゆっくり僕に近付いてくる。やっぱり小さな背。だけど巨人のような迫力を帯びた美しい少女に、僕の情緒はぐちゃぐちゃになりそうだ。


「――ふむ。思った通り強い魔力を感じる。訓練次第で大きな戦力になり得るな。……ふふっ、上々だ」


 ほんの少し柔らかく微笑んだ少女に、僕の情緒はますますぐちゃぐちゃになる。頭と胸が熱くなり、僕の顎に手を添える少女から目が離せなくなる。


「期待しているぞ。…………えっと、お前の名はなんだ?」


「天乃……宇宙……」


「ソラ……いい名だ。これから頼むぞソラ。私とピートユアのために、身を粉にして働くがいい」


 不遜に、だけど可憐に微笑む少女に、僕は何も言えなくなった。



 ――これが僕とルシアの、運命の出会いだった。


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魔王ルシアとの出会いが魅力的ですぐに夢中になりました
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