ミーシャとノワール。
そんなこんなで。
あたしにもどうしてこうなったのかよくわからないけれど、ちょっと空を飛ぶ練習をしにきただけだったのに、帰る時には猫が二匹になっていた。
白猫のミーシャ。
黒猫のノワール。
長毛種のふわふわでかわいんだけど、ちょっとね。
二人ともに神様みたいな存在だっていうのがどうしていいかわかんない理由。
「にゃぁ。そんなに気負わなくてもいいのに。あたしたちはこうして猫してるからね」
ニャァぁとあたしの肩に乗ったまま、可愛い頭をあたしの頬に擦り付けてくるミーシャ。
「ふむ、私のことはほっておいてくれても構わないよ。まあせっかくだから、時々撫でてくれたらそれでいいから」
にゅうっとあたしの足元を8の字を描くようにまわりながら、時々体を擦り付けてくるノワール。
ほんとにさ、可愛くてしょうがないから困るよね。
そういえばあんまりびっくりして忘れてたけど、あたしは結構長時間自力で空を飛んでいたらしい。
「これだけ飛んでいらられば大丈夫そうだよね。まあ、きっとギディオンがドラゴニアで竜になって背中にのせてくれるだろうから、心配しなくても良さげだけど」
え?
「だって、ギディオンだってどうせ長距離飛ぶのなら竜になっちゃった方が楽に違いないもの。人の姿だって飛べるけど、長距離を高速で飛ぶなら、ね? だったらセリナは背中に乗せちゃった方がいいって思うに違いないことない?」
「そりゃあ、そうかもしれないけど……」
ドラゴンの背中に乗って飛ぶだなんて、やっぱりちょっと怖い。
「まあその時は、あたしとノワの二人で支えてあげるからさ」
「はう……。お願いします……」
ミーシャやノワールが支えてくれるっていうなら安心かもだけど……。それでもやっぱり怖いなぁ。
そんなこと考えていたらもう日が昇っていた。
今日はお仕事はお休みの日だったけど、お昼前にはギディオン様がくるはず。
一緒にランチをして、帝都行きの日程とか準備とかすることになってる。
「ギディオンには、あたしが話そうか?」
「あ、ううん、あたし、ちゃんと話してみる。馬車とかもう準備してたら困るし」
「そうねえ。荷物とかもあるものね」
「ふむ。荷物とやらはどれくらいの量なのだ?」
「あら、ノワールも一緒に帝都に行くつもり?」
「それは……、セレナ殿が行くところには私もご一緒させてもらおうと思ってますが」
「ふふ。意地悪言ってごめんなさい。あなたの力もちゃんと当てにしてるわ。あなたなら、馬車の荷台くらいの量なら簡単に収納できるわよね?」
「ええ、我が女神よ。もちろん可能です」
「じゃぁ、お願いね。あ、そうだ、セリナ。誰か他の人間も一緒に行く予定?」
「うーん、元々帝都は遠いし、お姉さまのお屋敷に宿泊させてもらえるって話だから、使用人まで一緒じゃなくても大丈夫かな」
「それならよかった。なら、そこまで大袈裟な旅行にはならなくてすみそうね」
あたしの肩からビョンと飛び降りたミーシャ。ノワールと並んであたしの前を歩いていく。
あたしはふわあとあくびをして。
ミーシャたちの後をゆっくりと歩いていた。




