食後のデザート。
試作品をいくつかいただき持ち帰る。
今日はギディオン様がみえる予定だから、一緒に食べようと思って。
食後のデザートにはちょっと重いかもしれないけど、丸ごとじゃなく一口大にカットしたものなら二人で色々たべれるかもしれない、そう思ってほくほくする。
顔が、思いっきり笑顔になっていたんだろう、あたしの顔を見ていきなりギディオン様がははっと笑った。
「もう、ギディオン様ったら、そんなに笑わないでくださいな……」
恥ずかしくて、ほっぺたを抑え抗議する。
「ごめんねセリーヌ。君の嬉しそうな顔が微笑ましくって、我慢できなかった」
そうおっしゃって、ますます微笑むギディオン様。
「でも、何か言いことがあった顔、だね」
「ええ、そうなんです! 新しいドーナツができたので、試作のをいくつか頂いてきたんですよ。ご飯の後、一緒に食べましょう」
「そっか。じゃぁご飯は控えめにしておかないとね」
「ええ、今夜は量がご自分で調節しやすいよう、ミニハンバーグにしたわ」
「ああ、それは期待してしまうね。美味しくて食べすぎないようきをつけないと」
「ふふ。ハンバーグは冷凍魔法庫で冷凍できますから、いつでも頂けますからね」
そんな会話を楽しみながら食事を終え、いよいよドーナツの時間になった。
チョコレートドーナツはグレーズ、ローストピーナッツ、そしてココナッツでまぶした三種類。
ココナッツチョコレートは本当に絶品なお味。
ほろほろのチョコ生地にぱらぱらとついているココナッツの白い粒が、本当にマッチして。お口の中で混ざり合った感触が素晴らしい。
クッキーリング。
こちらは前世のドーナツで言ったらオールドファッションと呼ばれていたものなんだけど、こちらにもグレーズがけとそのままのプレーンと、後、ちょこっとだけチョコレートをつけたものの三種類。
湯煎で溶かしたチョコに、さっと斜めにつけて乾かす。
表面のチョココーティングと中のドーナツ部分がお口の中で溶け合って、ほんと美味しい。
フレンチクルーラー、は、フレンチクルーラーって名前で押し通した。
卵をいっぱい使ってあるから卵ドーナツでもよかったんだけど、ちょっとね。
「フレンチってなんだ?」
ってジャンに聞かれたけど、「たくさん卵を混ぜたものよ。だから、たくさん卵黄にひたして焼いたパンは、フレンチトーストって名前にするといいわ」だなんてちょっと嘘を織り交ぜ答えておいた。
もしかしたら転生者や転生者の記憶や記録から本当の意味がわかっちゃうかもしれないけど、そこはそれ。流行らせてしまえばそこまで気にならないだろうとも思うし。
グレーズがけしたフレンチクルーラー。半分にカットしてクリームを詰め、切り口をチョココーティングしたクリームフレンチ。
今回はまだないけれど、カカオを混ぜ込んだショコラフレンチも提案してみようって、思ってる。
食後、温かいホットミルクティーと共に頂いたドーナツたち。
ギディオン様のお顔が始終笑顔で、なんだか幸せな気分に浸って。