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旅行に。

 きっかけは、

「ほんとにセリーヌの作るオムライスは美味しいね。たぶんこの料理、子供の頃に食べて以来だったから、懐かしくって」

 っていうギディオン様の一言だった。


 え? この世界にオムライスがあったの?

 そう思って。


 この国ではまだ見た事がない。貴族の料理にも平民の料理にも、オムライスは存在しないのかと思っていた。

 そもそも、トマトケチャップ自体を見かけなかった。

 トマトはある。日本のトマトよりはちょっと酸味が強くて大きい。

 焼いたりスープに入れたりするけどそれを調味料とする考えはなかったんだろうと思い込んでいた。


「そのオムライスはトマトケチャップのお味でしたか?」


「うん。そうだね。多分君の作るトマトケチャップと同じような風味だったよ。オムライスって名前までは覚えてなかったんだけどね」


 あああ。

 あたしのポーションならケチャップもどきもマヨネーズもどきも濃口ソースもどきもお好み焼き風味なソースもなんならカレー味だって再現できた。

 まあ魔法を使わなくたって作成可能な調味料だとは思うけど、自分で使う分だけなら材料揃えて作るよりも早いと思ってそこまで真剣に調味料探しや原材料集めをしなかったのもあるけれど……。

 それでも、まさかこの世界にオムライスがあるだなんて……。


 煮るとか焼くとかそういうのはどんな世界でもあっておかしくないとは思ってた。

 料理の中には地球にあったものとよく似たものもいっぱいあった。

 パンだってドーナツだってそう。

 こういうのは結構普遍的なのかなぁだなんて、軽く考えてた、けど。


 でも、オムライスって、ちょっと違うと思うのだ。

 オムライスって洋食っぽい名前だけど、完全に日本生まれの食べ物だったはず。

 まあ確かに卵料理としてのオムレツだったら普遍的な食べ物だって思う。

 白米を食べる習慣だって、あたしの周りにはなかった。

 それなのにオムライス?

 どうして。

 ちょっと偶然にしては出来過ぎな気がして。


「どこで食べたんですか!!? ギディオンさま!?」


 思わずそう詰め寄ってしまった。

 ごめんなさいギディオン様。びっくりしたよね。


「子供の頃、ベルクマール領の聖都カサンドラだったかな」


「聖都……、大公領の領都ですか?」


「ああ。そうだよ。あの街は歴史がある街でね。街にはいろんな料理屋があったから、その中のどこかだったと思うけど」


「あああああ、あたし、食べてみたいです! そのオムライス!」


「一緒に行くかい? はは、私たちのルーツみたいな場所だからね。君も気にいると思うよ」


 そう微笑むギディオン様。

 あたしは二つ返事で頷いて。


 こうしてあたしはギディオン様と一緒に帝国のベルクマール大公領まで旅行に行くこととなった。

 うん、すごく楽しみだ。

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【推し婚】白い結婚の旦那様と、離縁なんかしたくない私。

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こちらで連載していた四万字程度の中編(番外追加して現在は五万字くらいになってますが)をプロットに、大幅改稿加筆して10万字ほどの本になりました。 電子書籍レーベルの「ミーティアノベルス」様より、10月9日各種サイトからの配信開始となります。 タイトルは 『お飾り』なんてまっぴらごめんです!! です♪ よろしくお願いします。 新作短編投稿しました! お手にとっていただたら幸いです。 よろしくお願いします。 友坂悠
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