同じ効能のポーション。
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一般のポーションは煮詰めるとちゃんと薬効成分も煮詰まって抽出される。
そうして煮詰め丸薬にすることもあるそうだ。
効きは、なぜかポーションの状態の方が高いことの方が多く、丸薬にするメリットはあまりないそうだけれど。
即効性の面から見ても丸薬はポーションに劣る。
そういう意味でも、ゆっくり効かせる風邪薬なんかには丸薬が向いていて、今すぐ回復させるなら液ぐすりの方が良いって言われていた。
薬には魔法を込めて作成した薬と純粋に薬草などの効能だけを使った薬とがあるけれど、今のこの世界では魔力が全く籠っていない薬草というのは探すのが逆に難しいこともあって、多かれ少なかれ魔法の効能も含まれているのだという。
それでも、魔法だけで生み出すポーションというのはどこの本にも載っていなかった。
そういう意味ではあたしのこの権能って、ちょっと特殊だよね。
まあでも転生特典だとしたらすごく微妙?
好きな味が作れるのは今となってはあたしにとってなくてはならない技能になってはいるけれど、それでもそれだけの物。そんなに大した力じゃない。そうは思ってる。
普通に売ってるポーションとあたしのポーションの違いといったら、あたしのポーションは煮詰めると何も残らない、っていう点。
あと、定着率?
粉に効能をつける場合なんか特に、その薬効は数日で消えて無くなってしまうことが多かった。
保存は効かないってことだ。
最初はどうしてかなって考えたけど、結局本当のところはわからなかった。
ただ、長く効くようにって祈ったものはそれなりに長く効き、何も考えず生み出したものは割とすぐに効かなくなってしまった、そういう感じ。
きっと、水の中にあるのはマナとギアだけなんじゃないかな。
それがあたしの出した結論。
例えば聖魔法で回復を唱えたとき、自分の中のマナをギア・キュアが食べて「治す」っていう権能を発揮する。
キュアは、人には見えない光の粒。
それが怪我をした人の患部に入り込み、治癒させていくのだ。
だから。
きっとポーションの中にはマナとギアが込められているんじゃないかなって、そう思ってる。
時間が経ってマナやギアが抜けてしまったらただの水に戻る? みたいな。
そんなイメージを持っていた。
ギディオン様から星闇の森にできてしまったあの泉がまだそのまま残っているって聞いた時は驚いた。
だって、あたし、あの時そんな長持ちするようには祈っていなかった。
ただただお姉様を助けてって願っただけだもの。
ポーションを汲んで街まで戻ってくると、数日でその効果が消えてしまうと聞いた時には「やっぱりね」と思ったものだ。
どうやら次元の裂け目を封印するのに役に立っているって聞いた時は、良かったって純粋に思ったものだったけど、それがそんなにも長くそのままの状態を保っているだなんて。
不思議だ。
「もう一度同じ効能のポーションを生み出せるかい?」
そう聞かれ、何度か試してみたけど無理だった。
っていうか全く同じっていうからいけない。
そこそこのハイポーションなら普通に作れたんだけど、な。
お姉様に渡して比べてみてもらったけど、どうやらちょっと違うらしいの。
やっぱりあの時は必死だったから。
その分少し状況が違ったんだろうって。そうは思うんだけどね。




