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DIE YOUNG

作者: 木こる

「死ねえええ!!」

「死なねえええ!!」


勇者と魔王が戦っている。

人類の存亡を懸けた最後の戦いだ。


勇者は物語の主役として負ける訳にはいかず、

最初の町でレベル99まで育て切ったから戦えているものの、

仲間たちは初期レベルのまま最終決戦まで連れ回されて迷惑していた。


魔王の攻撃が一発でも掠ったら死ぬ。

とにかく範囲攻撃に巻き込まれないように距離を置いていた。


「みんなも戦ってくれ!

 僕だけじゃ自動回復量以上のダメージを出せないんだ!」

「フハハハハ!よくわかってるじゃないか!

 貴様の攻撃だけでは我のHPを削り切ることは不可能だ!」


「いや、戦えと言われてもな……」

「昨日冒険者登録したばかりの私がなぜこんなところに……」

「俺たちが加勢したところで、どうせ0か1しかダメージ通らないだろ」


仲間たちは消極的で、このままでは押し負けてしまう。

この状況を打開出来る方法は何かないか、勇者は思案した。


「こうなったら……あの禁断魔法を使うしかないな」

「何っ!? 禁断魔法だと……!?」


「なっ……やめろ!」

「禁断魔法ってたしか……」

「寿命と引き換えに発動する強力な魔法か……!」


それは古の賢者が編み出した人類究極の攻撃魔法だった。

あまりにも危険な為、隠しダンジョンの最奥地に封印されていたものだ。


「食らええええ!!」

「食らわねえええ!!」


勇者の放ったドス黒い攻撃魔法が魔王に直撃する。


「ぐわああああああ!!」

「戦士さーーーん!!」

「クソッ、あいつ本当にやりやがった!!」


残りの寿命を使い切った戦士は死んだ。


さすがは命と引き換えの攻撃魔法、

勇者は確かな手応えを感じ取った。


「まだいくぞおおお!!」

「もうやめろおおお!!」


戦士の死を無駄にしない為にも、

魔王が回復する前に勇者は二発目を放った。


「いやああああああ!!」

「僧侶ちゃーーーん!!」


残りの寿命を使い切った僧侶は死んだ。


さすがは最年少のメンバー、

寿命が長かった分、その破壊力も絶大だった。


「ここが貴様の墓場だあああ!!」

「この外道があああ!!」


そしてダメ押しの三発目が放たれた。


「ぎゃああああああ!!」


残りの寿命を使い切った魔法使いは死んだ。


仲間を犠牲にしてまで放った禁断魔法。

もう弾は残っていない。


「やったか!?」


全壊した魔王城。

立ち昇る土煙。


「やってない!!」


魔王は生きていた。


既に自動回復が始まっているようで、

このままでは仲間の死が無駄になってしまう。


勇者は覚悟を決めて勝負に出た。


「うおおおおおおお!!」

「うがああああああ!!」


ドス黒い攻撃魔法が天に向かって直線を描いた。

それは太い柱となって、ありとあらゆる物を破壊した。


勇者にとって、それは最後の一発だった。


これを外せば人類は滅亡する。

家族、友人、犠牲になった仲間たち……。

大切な彼らの為にも負ける訳にはいかない。


この命がどうなってもいい。

勇者は己が使命を果たす為、全てを解き放った。


残りの寿命を使い切った魔王は死んだ。

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