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7.おままごとで遊ぼう

「もちろんボクも手伝うよ」

「ありがとう。だったら私にテコンドーを教えて欲しいの」

「それぐらいお安いご用だよ。だけど問題の八年後でも君はまだ十一歳の少女でしかない。格闘技よりもこっちを極めた方が良いと思うな」


 協力を頼む前に快く申し出てくれたので考えがあり頼んでみれば、ごもっともな厳しい言葉に適切な助言をしてくれ拳銃を渡される。


 確かに拳銃ならテコンドーと違って体格差がそれほど関係がなさそうだから、努力次第では八年後には極められるかもしれない。

 それに射撃は前から興味あったんだよね?



「そうだね? フレディは射撃の方は?」

「一通りは習ってるから、教えられると思う。それから護衛術も伝授するよ」

「本当に? 助かるよ」

「それにしても第三者がボク達を見たら間違えなく不審に思うよね?」

「そうだね。フレディはエルフだからまだしも、私なんか特に三歳で拳銃を持ってるってお兄ちゃんに知られたら泣かれちゃうよ」


 改めてそう言われると自覚はしていても第三者目線で見れば、この会話は奇妙で可笑しな物だろう。

 今の私は三歳児らしくない。

 そう思った私は圧縮魔法で、拳銃を小さくしポシェットに入れる。

 これなら発見されてもおもちゃで通せる。


「へぇ~、そんな魔法を使えるんだ? どこで覚えるんだい?」

「お兄ちゃんの教科書と動画サイト。まだ家族にも秘密にしてるけどね」

「なるほどね」


 同じ転生者だから正直に話すだけで納得してくれ、驚くことなくそれ以上聞かれることもなかった。

 こう言う反応を他の人達にもして欲しいけれど、無理な相談なんだろう。

 特に両親とお兄ちゃんは普段はのほほんとしているのに、私の誤魔化しだけは高い確率で見抜かれ鋭い指摘をする。

 三歳児が魔法を使いこなせたら大変だ。


「なら早速……あ、カリーナだ。宿題終わったのかな?」


 善は急げと言うように早速特訓開始してもらおうとしたけれど、こちらに走って近づいてくるカリーナの姿が見えた。

 お兄ちゃんとマイケルの姿はない。


「カリーナは本当に小さい時から可愛いんだよね? あんな子がボクの彼女になってくれると思うと転生してきて正解だと言えるんだ」

「そうなんだ。だったら早く者にしちゃえばいいじゃない?」


 最小限の小声でカリーナについて話す。

 フレディのテンションの高さと言い切れるのは、本当に好きなんだってことを意味してる。

 特に深く考えずについ軽はずみなことを言ったものの、流石に七歳の少女を恋愛対象に出来るはずがない。


「今はまだ仲良しの友達だって思ってくれるだけでいい」

「そうだよね」


 思った通り残念そうな感じもなく純粋な気持ちで答えてくれる。私の中ではフレディは人畜無害の頼りになる人と完全に位置付けられた。



「アカツキちゃん、お待たせしました。フレディありがとう」

「カリーナお姉ちゃん、宿題終わったんだね」

「はい。三日分を終わらせてきましたので、いっぱい遊べます」

「お嬢様、ご苦労様です」


 息を切らしたカリーナが私達の元にやって来たことにより、私もフレディも普段の姿に戻り笑顔でカリーナを歓迎。

 素の私を知っている人が見れば無邪気な私は、ドン引きで気色悪いんだと思う。

 私もそう思う時があるけれど、年相応に振る舞うしかない。

 それにしてもカリーナはマイケルの妹なだけに優秀で一年飛び級していても、勉強は楽勝なんだね。

 でも中途半端の三日分というのが可愛らしい。


「やった。ならおままごとしようよ。カリーナお姉ちゃんとフレディお兄ちゃんがママとパパで、私がお姉ちゃんで東雲が赤ちゃん」

「いいですね。だったらランプもやりましょう」


 私の即答のままごとに喜んで賛成してくれ、私同様精霊も巻き込む。

 するとカリーナのバックからランプが出てきて、眠たそうにあくびをしながら頷く。

 どうやら寝ていたらしい。

 一方


─僕、おままごと大好き。早くやろう。


 今まで静かだっただけにやる気満々の東雲は誰よりも張り切り、私のリュックからシートを取り出しセットを始める。

 ここのままごとは結構リアルで専用のレジャーシートの上でやると、疑似体験が出来て私は結構お気に入りだったりする。


「アカツキはタスクさんと良くやるのかい?」

「うん。私がママでお兄ちゃんがパパ。ママパパとも友達とも遊ぶよ」

「そうなんですね? 今日は子供でいいのですか?」

「うん。私がママの時はお兄ちゃんかパパがパパじゃないと怒るんだ」


 パパもお兄ちゃんに劣らず私が大好きな親バカなので、甘やかされ大切に育てられている。

 普通の子なら絶対に駄目な育て方。


「タスクさんらしいですね? 私はお兄様ともしますが、いつもはお友達とやります。私達はくじで配役を決めます」

「へぇ~」


 カリーナの年代でもままごとは普通にしているらしく、三歳児とは違ってくじと言う平等な決め方をしていた。

 当たり前のことだけれど、そう言うことでも成長していくんだな。

 三歳児なんぞやりたい役を自由にやるもんだから、同じ役を何人もやる。

 一役一人なんて言ったら大喧嘩。

 中でもお母さんやお姉さんが人気が高く、私はいつも人気がない余ったものを適当に。

 今日はフレディとカリーナの仲を取り持つため、敢えて指名しただけ。


「では設定は私が決めますね? 仕事もせずに飲んだくれの父親とバリバリ働く母親が子供の親権を争う話」

「ちょっと待って下さい。そんな修羅場設定やめましょう?」

「修羅場設定? ですがこう言う設定は学校で流行ってるのですよ」


 なぜか世の奥様方が好みそうな設定を言い出すカリーナ。フレディは青ざめそれを全力で阻止しようとするけれど、可愛らしく首をかしげ分かってくれず。



 まったく子供というものは、おかしなものを流行らせる。

 しかもそれはおままごとではないと思う。


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