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1.第二の人生

 前世の記憶を持ったまま私は転生した。



 地上へと落ちていく中私は気を失い次に目覚めると、パッと明るくなりアルコールの匂いが漂いマスクをした六十代ぐらいだろうお産婆さんらしき人に取り上げられるとこだった。

 その瞬間なぜか息苦しさを感じ力の限り大きく息をすると、良くある元気の良い産声がに変わった。

 これが自分の泣き声であり、新たな人生の始まり。


「グレンさん、おめでとうございます。可愛らしい元気な女の子ですよ」


 ありがちな台詞をお産婆さんは微笑み言いながら、可愛らしい女性に私をそっと渡す。

 女性は出産後だからなのか汗だくで疲れきっていたけれど、私を宝物のように大切に抱きしめ幸せな笑顔を浮かべ愛しげに私を見つめる。


 どうやらこの人が転生先の私の母親らしい。

 辺りを見回すと病室っぽく特に違和感がないけれど、この世界は本来生まれるべき場所なんだろうか?


 私の本来生まれるべき世界。



「初めまして、私がママよ。あなたのお名前はアカツキ」

「あっ」


 赤ん坊の私に女性は歌うような透き通った声で、自己紹介と命名してくれる。


 前世と同じ私の名前。

 ここでも私はアカツキとして生きられると思うとすごく嬉しい。

 自然と笑みが浮かび声をあげれば、ママ(そう呼ぶことにする)もますます笑顔になる。


 間違えなく私の誕生を世界で一番喜んでいる。

 そんな我が子は実は前世の記憶持ちで、心はアラサー女子です。

 なんて暴露したら可哀想だから、このことは私だけの秘密にしておこう。


 そんな時扉が乱暴に開かれ、ダンディで緑髪の男性が入ってくる。

 私を見るなり鼻の下を伸ばし目も細め、滅茶苦茶嬉しそうに駆け寄って来た。

 驚いた私は我を忘れて大泣き。


 冷静に考えれば少し騒がしい程度で、この人からは好意しか感じられない。

 なのになんで私はこんなに恐怖を感じてしまうんだろう?

 頭では理解していても、怖い物は怖い。


「アカツキちゃん、大丈夫。この人があなたのパパよ。あなたに逢えることをずーと楽しみにしてたの」

「驚かしてすまない。初めましてアカツキ」

「あ、あ!!」


 困り果ててる男性の正体をママは苦笑しつつ教えてくれる。安心した私はすぐに泣きやみパパに笑いかけた。


 この男性が私のパパ?

 ママより随分年上みたいだけれど、ママとお似合いに見える。

 可愛いママとダンディなパパ。

 二人のためにも無邪気な赤ん坊……あれなんだか眠くなってきた。

 さっき生まれて来たばかりだと言うのに、突然睡魔が襲い考える機能が停止していく。


「あら、眠くなったのね? おやすみなさい」

「おやすみ俺達の天使」


 優しい両親に見守られるのもあり、私は安心して眠りにつく。


 どうやら前世の記憶があってもこの体は生まれたばかりの赤ん坊だから、体力は初期設定なんだろう。

 








 私が生まれてから半年ぐらいが過ぎハイハイが出来るようになった。そしてママが毎日沢山の絵本を読んでくれるおかげで、簡単な文字を読めるまで成長した。文字は日本語でも英語でもない。

 この世界のこともいろいろ分かり初めて来たんだけれど、それと同時にある疑問が生まれ大きくなりつつあった。


 科学は地球より少し進歩しているようで、魔法と言うものも存在している。

 七歳になると普通科の学校に通い、適性検査も受けよりその子にあったカリキュラムを組まれる。その後十五歳で各分野の学校に進学するらしい。

 種族は人間以外にも様々な種族が当たり前のように混在して暮らしてるそうだ。

 そして人間には必ずパートナー精霊というものがいて、私にも例がいなく可愛い男の子の精霊がいる。

 精霊はパートナーとしか話せないらしいけれど、精霊同士や動物とも話せるみたい。

 ファンタジーと科学が混ざりあったオタクにとっては最早理想郷。

 しかしこれって前世の私の好きな乙女ゲームの世界観に似ているんだよね?

 よくある世界観なんだろうか?




─アカ、何してあとぶ?

─これからアニメを見るの。東雲も見よう?

─うん。


 東雲と名付けた精霊にそう答えれば、嬉しそうに頷き私の頭上に止まる。

 私とは違いこちらは正真正銘の赤ん坊なので、パートナーというより可愛い弟のような存在。

 私はまだ消えてるテレビの前に座り、良い時間になったのを確認しママを呼ぶ。


「ああ」

「はいはい、アニメが見たいのね。本当にアカツキちゃんは天才なんだから」


 毎回同じ時刻に呼び早い段階でハイハイをしたため、すっかり私は天才少女になってしまい歩くのは一歳まで待とうと思う。

 まだしばらくは赤ちゃん生活を満喫しようと決めている。



「アカツキちゃん。今日はお兄ちゃんが学校の長期休暇で帰ってくるから、見終わったらお迎えに行きましょうね?」

「あー」


 どうやら私にはタスクと言う兄がいるらしく、本日ようやく初対面となっている。


 年齢は十二歳で全寮制の全世界トップクラスの魔法学園に通っているとかで、家に帰れるのは長期休暇の年に二回だけ。

 写真やテレビ電話でも顔合わせが出来るはずなのに、しきたりだと家族の初対面は直接となっているらしい。

 なのでタスクくんがどんな子なのかは知らないけれど、噂を聞く限りでは結構なイケメンくんだとか。

 今日と言う日を私が生まれた日から楽しみにしていて、ひょっとしたらシスコン予備軍かも知れない。

 私も前世では長女で歳の離れた兄に憧れを抱いていたから、会えることを楽しみにしている。


 でもまずはアニメに専念しなければ。

 完全な幼児アニメであるけれど、絵が愛らしくてほのぼの系だからお気に入りだったりするんだよね?


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― 新着の感想 ―
[良い点] うっかりさんでも神様になれるのだなと、なんだか希望が見えました(違) [気になる点] 登場人物が、なにをしてるかは分かるけど、背景などの描写が少なめで景色が想像しづらい [一言] とにか…
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