来世とかいらないんで今世だけで終わります
僕は小さい頃から母親にとても懐いていた、なぜこんなにも母を好きでいられるのか自分でもよくわからない、暴力を振るい、罵詈雑言を浴びせるような酷い母親でも、「母親」という存在だけで愛せるようになるものなのかとも今は思う。
幼少期、もう5歳の頃には暴言を吐かれている。
「お前なんか産まなければよかった」
それは母の口癖みたいなものだった。
僕はそれを聞く度に、心臓ら辺がきゅっと締め付けられ、ズキズキと痛みが走っていたが、1つ下の弟がいるおかげで、なんとかメンタルは死なずに済んでいた。
母のお母さんが数年ぶりに遊びに来た。
「あんた元気にしてたんかいな!」と弟に優しく話しかける祖母、ただ僕には話しかけてくれないみたい。
祖母にも怒られた、お前はお前の父親に顔が似てるから嫌いだと言われた、僕はそれで嫌われているのかな。
弟には綺麗な布団、綺麗なコップ、綺麗な箸
僕には破れて茶色に汚れた布団、ちゃんと洗っていなくて汚れが浮いているコップ、使いまわして汚くなった割り箸、どうして僕にこんなことをするのか未だにわからないが、僕自身に問題があると小さい頃から言われていたので、そうなのだろうと思う。
虐待を受けていた僕でも小学生になれるもんで、正直新しい友達とか、先生とか、勉強する場所とか、通学路とか、ランドセルとか、とにかくなんにでもワクワクしていた。
小学1年生の入学式は行けなかった、親が喧嘩して僕の入学式どころじゃないって感じだったね。
そして学校生活が始まって数年、僕は小学6年生になった、ぶっちゃけ言うと普通にいじめられた、これだけ周りの人にいじめられるとやっぱり僕自身に何か問題があると思った僕は、誰に対しても優しくしようと考え、それからは怒ったり、誰かの陰口だったりはしないようにずっと頑張っていた。
親からは「お父さんがぜんそくだからってなんでお前までぜんそくを引き継ぐんだよ、生きてるだけでお金がかかるわ」と言われた、それに僕は犬アレルギーがあったのでよくぜんそくで入院していた、僕は必死に「犬アレルギーでぜんそくが出るから犬は飼わないで」と言ったが「犬の方がかわいいし、お父さんが猫アレルギーだから犬しか飼えないの」と言ってきた
僕にはいいんだ、僕には犬アレルギーやぜんそくがあるけど、僕がこんなやつだから犬も飼っていいし、タバコも僕の近くで吸っていいんだね、わかったよ。
弟に「生まれ変わったらなにになりたい?」と聞かれ僕は迷いながらも「うーん、また人間に生まれ変わりたいな」そう言った。
そして僕も高校生になり親には学校の教育費をありがたいことに払ってもらって、日々勉強に励んでいる。
そして僕が高校1年生の頃には新しい子供も生まれた、正直僕は反対した、あなたみたいな母親が子供を育てれるわけがないと、だが母は頑なに「自分だけでも育てれる」と言うので信じていたが、毎晩18時頃から外に遊びに行き、朝7時まで僕に子守りをさせていた、僕はヘトヘトになりながらも通信制高校なのでタブレットで勉強をしている、その間の子守りもずっと僕だ、母は昼夜逆転をしているので僕が子守りをしている間は寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている、これにはかなりイラッとしているが、言ってどうにかなるものなら今頃なんとかなっている。
そして高校2年生に上がる頃、学校から僕に直接電話がかかってきた。
「もしもし〜、いきなり電話してごめんね!ちょっと気になることがあるんだけど、お母さんっていつ学費払うか言ってたりする?」
「え、学費って払ってないんですか」
「うん、一気に払えないから少しずつ払うとは言ってたんだけど、まだ1回も払ってもらってなくてね」
そして僕は学費を払えなくて強制退学となった、正直払ってくれているものだと思っていたが、今までの学費って何に使ってたのかがシンプルに気になる。
母が帰ってきた、いつも帰ってきてもただいまの一言も言わない、右手には小さなレジ袋を持っていて、それをテーブルに置きそのまま寝た。
冷蔵庫に入れるものは冷蔵庫に入れろよ…と思いつつ、レジ袋の中身を見るとそこにはパチスロのキャラが描かれた飴や駄菓子みたいなのが入っていた、高校生の俺でもさすがに気付く。
「なんだ…またパチンコに行ってたんだ、もう頭がぐちゃぐちゃになってなにもわからないよ。」
僕の人生って他の人から見たらどんな感じなんだろ、思ってたよりも酷くなかったりするのかな、小さい頃からコンビニ飯やカップ麺ばっかだし、コップはずっと紙コップを使ってるし、お小遣いはないし、暴力は振るわれる、学校は強制退学になったし、他にも色々あったけど、とりあえずこれからどうしようかな。
「僕は………俺はもう来世とかいらないからさ、今世で終わって欲しいな。」
この話は実際に今も僕の目の前に起こっていますが、皆さんは、この日本のどこかにいる僕という人物は今も来世がなく、今世で終わるということを信じて今も生きてるんだなと思っていただければ嬉しいです。