船での出会い2
-----------------------------------
Side アレス
-----------------------------------
扉を勢いよく開け放したぼくは、扉の脇にあったツボを見つけて駆け寄る。ツボを覗き込むと、底には薬草が入ってた。
「父さんの言った通りだ!きっと他にもありそうだな!」
ぼくは、階段を駆け上がり、甲板に続く木のドアを勢いよく開けた。
ドアを開けたぼくの目に、飛び込んでくるどこまでも続く青い海。遮るものがない太陽の光が燦々と照りつけ、甲板で作業をする船員のおじさん達に、容赦なく照りつける。
ドアを開けた所で作業をしてたおじさんが、飛び出してきた僕を見つけて、潮風で掠れた声でぼくに話しかける。
「おう、坊主!船酔いは大丈夫か?」
「坊主じゃないやい!ぼくにはアレスって名前があるんだからね!」
怒って言い返すぼくの頭をくしゃくしゃと撫でながら、
「はっはっは!それだけ元気があれば大丈夫そうだな!」
ぼくは、わしわしと頭を撫でられる手から逃げるようにその場を離れる。
「おじさん痛いって!!」
「はっはっは!海に落ちないように気をつけろよ〜!」
ぼくの背に、優しさにあふれた笑い声と、船の旅をはじめてから、もう何度目かわからない注意が飛んでくる。
「わかってるー!」
ぼくは、注意されたことに返事をしながら、船の先端に向かって走った。
追い風を受けて進む船は、ぐんぐんと速度を上げ、その流れに乗って走る。ぼくは風に乗って、ぐんぐん速度を上げる。ぼくは、勢いがつきすぎて、危うく船の舳先を飛び出しそうなところで、船乗りのおじさんの手に背中をガシッと掴まれる。
「こぉーら!船の中は走っちゃ危ないって言っただろ?」
ぼくは、船から飛び出しそうになってたから、心臓がバクバクしてて、涙を堪えるのに必死だった。