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10.できるネコは飼い主様の立場も考えています

ここがオクレイア家か。

スイム=オクレイア。フィルと同い年の伯爵家の次男らしい。今日の主役だ。


「フィルロード君!」


「スイム、本日はおめでとう。スイムにとって大切な日に僕が参加できて嬉しいよ。」


「こちらこそ来てくれてありがとう。凄く嬉しいよ。

あれ、君は?」


「僕のペット。」


こいつ、マジで言いやがったな…


「初めまして、スイム様。私、クロロードと申します。本日はお誕生日おめでとうございます。」


「行儀がいいだろ?ただペットには変わりないから、クロが粗相をしてしまったら本当に申し訳ない。」


「いや、それは大丈夫だよ。でも、へぇー。ペットか。」


自己紹介する前は普通だったのに、今ではニヤニヤと蔑んだ目で俺をみているのが丸わかりだった。きっと俺が嫌いなタイプの貴族だ。関わらない方がいいだろうな。


「では、また後で。」


「あ、あぁ。また。」


それからフィルは同世代の子達は勿論、子供の親にも声を掛けられてと人気者だった。フィルの周りには人が集まる。それは、フィルが大公爵家という理由もあるが、きっと性格・顔もその人気の理由に入ってるのだろう。


人の輪が出来ているフィルから離れ、少し離れたところで待機する。


(俺なんていてもいなくても変わんねーじゃんか。)


これなら来ない方が良かったと後悔しても、もう遅い。


「やぁ、クロロード君。楽しんでいただけてるかい?」


「スイム様。」


スイム=オクレイアは知らないガキ3.4人連れて声をかけてきた。

その連れている奴も、こいつもニヤニヤとしてて気持ち悪い。


「勿論楽しい時間を過ごさせていただいています。残念ながらフィル様は、他の方に囲まれてしまって、戻られるのももう少し先かと。」


「いや、いいんだ。気にしないでくれ。それより食事には手をつけたかい?最高のシェフが腕によりをかけて作ったものだ。勿論食材も金に糸目をつけず取り寄せたものでね。先程このローストビーフをいただいが、それはそれは頬が落ちるくらい絶品だった。良かったらぜひ食べてみてくれ。」


とローストビーフが乗った皿を渡される。この皿に何か盛られているのかもしれないと、怪しむもののとりあえず皿を受け取ろうとする。


「ありがとうございます。」


ボタボタ


「あ、済まない、手が滑ってしまって。仕方ない、捨てて…いやでも、クロロード君はペットなのだからこうした方が食べやすいか。皿で渡すなんて配慮が足りなくて申し訳なかった。ぜひ食べてくれ。」


皿の上にあったローストビーフだけが床に落ちる。

なるほど、なにかやると思っていたが…皿に盛られるんじゃなくて良かった。


「ご配慮ありがとうございます。では遠慮なく。」


ここで騒ぎたててパーティーを台無しにするのは良くないし、なによりフィルの同級生だというこいつとフィルの仲が悪くなったら困るのはフィルだから。


床に膝をついて、落ちたローストビーフを持ち上げる。床といえど赤いカーペットが引いてあるだけ随分マシだ。チラッとスイムの野郎を見やると、それはそれはもう悪人面というか、さぞ楽しそうな顔をしていた。勿論、スイムの後ろにいるガキも同じように。


(こいつら、碌な大人になんねーな。)


手に取ったローストビーフは俺の口へと入っていく。





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