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仮設風向計/詩集その3

未だ

作者: 浅黄 悠


初めて会った日 ゼリーのように派手な赤いドレスを纏っていた君は

ここではないどこかに行きたいと零していた

きっと誰にも聞こえていないと思っていたのだろう


だから僕は君に夢を見せ続けた

君の中に夢を見ていたくて


逃避のためだけの同伴者

空に雲が影を落としながら暗い眼差しを攫い

君は薄い銀の旗を振る


お互いの積み上げてきたものを黙殺し

海辺のスコールの轟の彼方へ葬り去った

僕等は同じだ と言い聞かせてやっと

束の間君は安堵する

西風で乱雑に梳かれた細い髪


どこに行こうなんて考えていないと

君は言った

夢の彼方

そのまた果てまで行くことは

未来を待つことなのだと


幾らそれが子供っぽい幻想に思えたとしても

奪ってはいけない淡い希望がある


君という人はそんな風に話さない

容易く頭を垂れたりしない

過去に向ける目をして僕を見ないでくれ

君の涙を我儘だと断罪したことを

もう謝らせてはくれないのか


それでも言おう

夢を見ていよう

あの時のように


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― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議なストーリー性のあるやや耽美な詩だと思います。 君と主人公の逃避行はどんなものだったのか。 >だから僕は君に夢を見せ続けた 君の中に夢を見ていたくて ここが肝かなと私は感じました…
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