街に入って
街は多くの人で賑わっていた。
まず最初に目についたのは、いろんな人がいる事だ。
パッと見るだけでも、いろんな人がいる。
ガストさん達のような冒険者の人たちもいれば、
目の前の通りで屋台を出している人もいる。
他にも、多分奴隷もいる。
わかるだけで二種類の奴隷だ。
獣人と人間の奴隷だ。
まだ、憶測でしかないが首に真っ黒な金属でできた首輪をつけている人たちが主に見窄らしい格好をしている。
人間の奴隷はまだ辛うじて服と言えるような物を着ているが、獣人の奴隷に至ってはもはや布を巻きつけていると言ってもいいぐらいだ。
普通の人と奴隷の割合いはおおよそ10:3ぐらいの割合だ。
これが多いのか少ないのかは分からないが、見ていて気分の良い物ではないのは確かだ。
「おーい いつまでも、立ち止まっていないで行くぞ」
ボーッとしていたらガストさんが声をかけてくれた。
「ねぇ、あの人達って…」
「ん?あぁ、奴隷か…嬢ちゃんの国ではなかったのか? じゃああんまり気分の良い物じゃないかもな…」
「うん…正直嫌……」
「そうか…ならサッサっと宿に行こうか」
屋台が左右に分かれて料理や香辛料、野菜にお肉、後はアクセサリーなんかの雑貨なんかも売っている。
屋台と屋台の間のスペースを普通の人が屋台に沿ってさらにその真ん中は馬車なんかが通っていく。
歩いて数分の所で、
「やっとね……それにしても、歩くの遅過ぎじゃない?」
「仕方ないじゃん 身長がそもそも違いすぎるんだよ」
この4人の中で1番高いのがガストさん、大体パッと見るだけでも175センチは超えている。
次にディーンさんだが、彼もほぼほぼガストさんと変わらないぐらいの身長だ。
次にリンさんロウリンさん順だがリンさんは165センチロウリンさんは160ぐらいはありそうだ。
そんな私は身長146センチ少なく見積もっても1番小さいロウリンさんと比べても15センチぐらいは
差がある。
そんな人たちと比べないで欲しい。
「まあ、それもそうだな」
そんな話をしている間に宿屋に着いてしまった。
ガストさん達は宿屋の中に入っていく。
その後ろに隠れるようにひっそりと着いて中に入る。
内装はしっかりと手入れされており、清潔感がある。
他には右側にテーブルが置かれてており、食事をしている人もいる。
左側は階段になっており恐らくあそこから2階に上がる先にある部屋が宿泊用なのだろう。
「おーす おっさん1人客を連れてきたんだが空いてるか?」
「おお ガスト達じゃねえか 部屋だな…ちょうどお前達の隣の206が空いてるぞ」
「だってさ嬢ちゃん 金は持ってるのか? 最悪かしといてやっても良いが…」
話の流れ的にここは借りておいた方がガストさんを引き立てるのだろうか?
嫌、勿論そんなことしないんだが。
「ちなみにうちは一泊銀貨1枚だ それで、朝と夜の飯がついてくる」
「金貨なら持ってるんですが…銀貨何枚分ですか?」
「「「「「金貨!」」」」」
ガストさん達とおっさんと呼ばれた人の声に反応して晩ご飯を食べていた人たちがこちらを向く。
しかし、おっさんが手を払うとまた、談笑しながらのご飯に戻っていった。
「金貨の価値知らないとか……常識ないとは思っていたけど、まさかここまでとは……」
「本当ですよ 金貨なんてそうそう人前に出す物ではないですよ」
なんか私が非難されている。
酷い。
「いいマイちゃん 金貨わね 銀貨100枚分なのよ
大体金貨1枚で4人家族が何もしないで3ヶ月ぐらい生活できるぐらい大金なのよ」
ようやくロウリンさんがまともな答えを教えてくれた。
「おい、嬢ちゃん 残念ながら内はそんなに銀貨持ってねえから金貨なんか出されても釣り銭を出さないぞ ガストにとりあえずだし変えて貰っておけ しっかし、頭のネジぶっ飛んでるんじゃねえか? 普通の宿屋で金貨なんて」
「それについては同感だ まあ、分かった また、お金ができたらでいいから返してくれよ」
「うん わかった なるべく早くお金を作るね」
「ひ〜ふ〜み〜……とりあえず5日分だな嬢ちゃん鍵だぞ無くしたら弁償してもらうことになるか注意しろよ」
「はーい」
そう言うとおっさんは私に向かって鍵を投げてきた。
急だったので危うく取り損ねそうになっだが、なんとか落とさずに済んだ。
「じゃ! 部屋に行くか」