門の通行
身分証がない私は現在門の下で待機させられている。
門は遠目から見てもかなりの大きさに思えたが、
真下から見ると更に大きく見える。
「大きぃ…」
「まあ、この辺は時々帝国との戦争が勃発していますからね それちょっと行ったところにダンジョンもありますから」
(やっぱり、戦争とかもあるんだな……巻き込まれないようにしとこう)
そんな事を考えながらディーンさんの話を聞く。
なんでもここはドミニク王国の西南地域で最大の街で常に多くの兵士が在中しており、治安もいいそうだ。
他にも人が多いことから物が集まり、物と一緒に冒険者なんかも集まってくるから戦争のある辺境地域でも、比較的に過ごしやすい。
因みに、この街よりも帝国に近い街や村はないので、街に難民が押し寄せてきたり、民が虐殺されたりすことがないそうだ。
この設計を考えた人の優しさを感じるが、それで本当に大丈夫かという不安にも襲われる。
帝国にが攻めてきたことの察知が少しでも遅れたら、街への被害が大変な事になる。
「まあ、帝国もあの森を抜けないといけないからそうそう攻めてこないけどね」
ロウリンさんが気になることを言っていた。
「あの森っていうのは?」
「ありゃ?知らないの? あの森わねとても凶悪な魔物が巣食っていて生半端な兵士なんかじゃすぐに殺されるのよ だからあの森に入る時は、魔物除けが必要なんだけど消耗品な上にそこそこ希少だからね だから、帝国もそうそう攻めてこないのよ でも、気をつけたほうがいいかもしれないわよ? 最近帝国の東の方に鉄やらが集まり始めているらしいから」
「成る程成る程……ロウリンさんって見た目より頭がいいんだね!」
「あんなにちゃんと説明してあげたのに酷くない! ねえ、リン!」
「い……いや う…うん そうだ……ね」
リンさんが肩を震わせながら口元を押さえて背を向けている。
「もういいわよ! 知らない!」
怒ってしまったがディーンさんとリンさんの反応を見るとやれやれまたか…という感じでいつものことのようだった。
そこで、ようやくガストさんが戻ってきた。
「嬢ちゃん良かったなとりあえずは中に入れてもらえる事になったぞ」
「え! 良いの?」
「身分証無いのに大丈夫なんですか?」
「ああ、とりあえず俺が身元保証人になったからどこかしらのギルドで身分証遠作ったら良いらしい」
「ありがとうございます ガストさん」
こうして、ようやく辿り着いたオルガルドの街は多くの人で賑わっていた。