夜の訪問者ー③
2階に上がったリンさんが、2階で寝ていた3人を叩き起こすような音がした。
そして、2階で何やら話し声が聞こえてくる。
どうなるか分からないけどとりあえず……
「集合して」
出しっ放しにしていたぬいぐるみ達が我先にと私の周りに集まってくる。
「まあ、とりあえずは信用できる感じだったから
半分は仕舞って 残り半分は警備よろしくね 後はガヴちゃん、ミカちゃん、ラファちゃん、ウリちゃん、アリちゃん、アズちゃん、カマちゃん達はここで待機して」
それぞれが、ウサギ、イヌ、ネコ、コアラ、ラッコ、ライオン、ペンギンの姿をしているが背中に翼と頭に黄色の輪っかが付いている。
これは、既製品で天使シリーズというシリーズだった。
なので、天使の名前から引用してこの名前した。
全員天使の翼が生えたことで可愛さが増して更に翼の触り具合は最高だ。
ちなみにこの7体は今は空中をふわふわしている状態だ。
そんな7体を撫で回しながらリンさんたちを待っている。
するとしばらくして漸くリンさん達が2階から戻って来た。
「話が纏ったわ 本当にこの2人の怪我が治ったら
護衛の依頼を受けさせて貰うわ」
後ろの魔法使いの人が首肯する。
怪我人の2人はあんまり覇気もなく陰鬱な空気が流れている。
正直あんまり期待していないような感じだった。
まあ、こんな会ったばかりの子供の言うことなんてまともに信じる方がおかしいだろ。
「じゃあ お願いしていいかしら?」
「はい! って言っても治してくれるのは私じゃなくてこの子たちなんですけど 皆この傷治せる?」
今正直もう無理だみたいな落胆した顔したな!
大丈夫うちの子達はやれば大体のことはできるはずだ。
ぬいぐるみ達は"任せて!“と言った感じで怪我人2人の周りを囲む様に移動した。
そして、怪我人2人の身体がだんだん光の粒が覆い始めた。
「なっ! 本当に回復魔法を!」
「いやこれは恐らくは神聖魔法だ!」
リンさんと魔法使いの人が騒いでいるうちに、だんだんと手と足があったであろう場所に、光の粒が集まって暫くしたらその粒はどこかに消えていってしまった。
そして残ったのは無くなったであろう手と足だった。