街道にて
「〜〜♪」
ジメジメして薄暗い森から遂に脱出して草原のような場所にある街道の脇までやってきた。
なので、気分はとても晴れやかでついつい鼻歌を歌ってしまうぐらいだ。
石畳の街道の左端を歩いていると時々馬車が隣を通る。
馬車にも色々あって。
中心に豪華な馬車を置いて周りを他の馬車で囲っているものや、引いている荷馬車に雨除けの布を被せているだけの簡素なもの、剣や槍、盾を持った人達が巨大な猪を檻付きの馬車で運んでいるなんてものもあった。
勿論全ての馬車が護衛と言えるような屈強な人たちと一緒にいた。
そんな中には、檻の中に人間を入れているものもあった。
狭い檻の中に20人程の人間が見えた。
多分あれが奴隷と言われるものだろうと思った。
首輪が付けられ、手足を錠で縛られて服とも言えないような布切れを被らされていた。
その馬車を見ていると奴隷の中の1人と目があった。
髪と目が緑色で耳が長い。
恐らくアレがエルフなのだろう。
が、馬車は早くもない速度だがそれでも私よりは速いのですぐに横を通り過ぎていった。
「……嫌なもの見たな……これがこっちの世界では普通なのかな?」
そんな事を考えながら街道を進む。
時々後ろの方から歩いてきた人に追い抜かれていく。
中には私よりも小さいような子供が家族で荷車に
野菜などを詰めて歩いて行っている。
子供達は私の周りを歩いているぬいぐるみ達を見て連れて帰ろうとしたり、大人達はそれを微笑ましい光景を見つめている。
結局、先に行かれて私1人で歩いてるのだが。
「はぁはぁはぁ 私どんだけ歩くの遅いんだよ」
さっきから上空を大きな鳥が旋回している。
絶対私のこと餌だと思って襲うタイミングを見計らっている。
きても多分ルーシ達がいるから大丈夫だと思うけど念のためにぬいぐるみ達の数を10から30に増やしておいた。
「ふぅ〜ちょっと休憩しようかな?」
周りを見回すと少し行った所に座るのにちょうど良いような岩があった。
「アレで良いや」
岩に座ろうとしていると遂に上から大きな鳥が攻撃を仕掛けてきた。
猛禽類が上空から獲物を狙うときのような動きで
降下してきた。
それを警戒していたので咄嗟に岩の背後に隠れてどうにか1回目の攻撃をやり過ごした。
再び鳥が降下し始めるが、それは来なかった。
ぬいぐるみ達の中でも速さが高い子達が降下したタイミングを見計らって鳥に乗っかって上から羽をボロボロにしていた。
空から大量の羽と鳥が落ちてくる。
鳥のの落下地点を取り囲むようにぬいぐるみ達が
待機していたが、結局高いところからの落下で鳥はそのまま死んでしった。
死んだ鳥を鑑定すると、
ーーーーーーーーーーーーーーーー
個体名 クレイジーイーグル
名前ーーーーー
レベル45 職業ーーーー
特性 滑空 飛行 イーグルアイ 爪鋭 嘴鋭
ーーーーーーーーーーーーーーーー
狩った魔物は中々強そうな魔物だった。
クレイジーイーグルも収納庫に直してもう少し進んだところで日が傾き始めたので、ちょっとだけ街道から離れた所にドールハウスを出して、休む事にした。
残りの食料はあと5日……街までもつよね?