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第21.5話 これからの世界

──世界は変わる──


 魔族の生存圏は一気に縮小し、多種族の生存圏が大幅に増えた。

 しかし、魔族以外の他種族は困惑している。いきなり魔族のいなくなった土地をどうすべきなのか分からないのだ。魔獣たちは恐る恐る足を踏み入れ、人族は王の判断で近寄りすらしない。


 そして、古代種(エンシェンツ)の死。

 古くからいる最強最古の怪物たちは、そのほとんどが生涯を終えた。その末路は悲惨なもので、存在を丸ごと消滅させられたケースが大半を占め、中には食べられたものもいた。


 強者が消えゆく中にあって、確かな地位を手に入れた者たちもいる。

 黒の円卓にて、第三魔王”黄泉”。彼はヲルト大陸の支配者となり、魔族を導くためにその力を振るう。

 第四魔王”竜胆”、その名をティアマト。灼赤大陸の事実上の支配者となり、オーガ、フレイムデーモン、ボルケーノウィッチ、竜魔人などの灼熱の大地で生まれ育った魔族たちを取りまとめることになった。これに関しては灼赤大陸内にて支配者不在時に勝手に戦争を始めたせいで面倒なことになっていたのを、旅から帰ってきたばかりの彼女が治めなければならなくなった不運な話なのだが……。

 第十二魔王”(くろがね)”。彼に関しては自身の領地を守ることだけに終始している。旅から帰った彼は、旅先での人族との交流を生かして、王国近くの人族とも交流を始めた。

 魔族は新たな生活の形に移行している。


 こうなったのは全てラルフのせいである。細かく言えばミーシャが最強の力を振るったせいではあるのだが、ラルフが関わらなければ全てが始まらなかったと言える。

 ミーシャをはじめとするベルフィアたちの獲得は、図らずも第三勢力として世界の頂点へと君臨しようとしている。何の実績もないヒューマン如きが権力を得ようとしているのだ。


 そんなことがあってはならない。そうはさせない、させてはならない。


 そのために神々が動く。ラルフを亡き者にしようと、なりふり構わず動き出す。

 アトム、アルテミス、イリヤ、エレクトラ、バルカン、ネレイド、ミネルバ、ユピテル。アシュタロトとサトリを除く八大神がラルフたち第三勢力に向けて本格始動する。


 誰かを操るのはもう終わりだ。世界を守るため、一個の戦力としてやってくる。


 世界は変わる。

 善悪の区別なく……。

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