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女の子とゴブリン
ある日洞窟の近くで人間の声がしたんだ。その時ボクはお腹がすごく空いていた。父さんも母さんも帰って来ない。このまま何も食べなかったら死んじゃう。そう思ったボクは勇気を出して狩りをしてみる事にしたんだ。
「やぁ、ボクゴブリン」
ボクは狩りの仕方を知らない。とりあえず目の前の女の子に名乗ってみた。ボクの見た目が珍しいのか口元に人差し指をあてて考えるように頭を傾げている女の子。これでも一応モンスターだぞ。驚かないのか。
「ゴブちゃん。一人なの?」
ゴブちゃん? ボクはゴブリンだ。でも……なんだか嬉しい。女の子はボクに一切れのパンとぶどうジュースをくれた。美味しい。人間はこんなに美味しい物を食べているのか。
「これからおばあさんの所へ行くんだけど、一緒に行く?」
女の子はボクを誘ってくれた。でもボクはここで父さんと母さんを待たなきゃいけない。でも……心のどこかで帰ってこないって分かってた。どうなってもいいや。
「うん……」
ボクは女の子についていく決心をした。