第3章
ここでは中華人民帝国宇宙軍の行った補給線封鎖作戦についての概要を述べる。
中華人民帝国宇宙軍は、中華人民共和国を名乗る時期から宇宙の軍事利用について、米ロに追い付き追い越せと頑張ってきていた。
例えば弾道ミサイル開発と歩調を合わせた、ロケット開発などアメリカ、ロシアに範をとり進めてきていた。
しかし、1国で他国に対するは、不利なことはもとから承知であり月面へ先に根拠地を設置した利点を生かし、ゲリラ的な補給線への攻撃を主要な戦略として採用した。
月面からのミサイル攻撃、月軌道上の迎撃衛星による攻撃、
ステルス性を持つ機雷での航路上での待ち伏せ攻撃、さらに有人及び無人艦艇での補給線攻撃などである。
連合軍側との正面衝突では不利な彼らは先祖伝来のゲリラ戦略を宇宙でも展開することにしたのである。
これに対して日米英連合軍は、第1段階でステルス性の高い無人探査機を多数配備、航路周辺の早期警戒を実施した。
また、機動力のある戦闘艦艇で航路上の危険空域を重点的に警戒。
そしてさらに護送船団方式で、輸送船を防衛することになった。
このように書けば、かっての大西洋でのドイツ潜水艦と米英海軍の戦いを思い出す方も多いだろうが、これよりさらに過酷、面倒になったのである。
まず被発見性からすれば、どうしても艦艇のほうが見つけやすい。
宇宙のごみ、スペースデブリに紛れて配置され、対電波、対赤外線センサー対策の施された機雷は、艦艇より識別しにくいのは当たり前である。
これら機雷を配置した空域に、囮の小艦艇が追撃してきた連合軍の艦艇を誘引、奇襲するような作戦を取られたり、潜入工作員を活用した軌道周回ステーションの空間ドックの破壊工作などの直接的な攻撃の他に、後方撹乱のために、他国のメディアを利用した情報戦を展開したりと間接的アプローチも交えた
せこせこした攻撃を行うのであり、それなりの戦果をあげ、連合側の作戦の妨害には成功している。
最終的には中華人民帝国宇宙軍は戦力を消耗し敗退するのであるが、兵力格差からしたら、もっと早くに敗北するのは当たり前であったから、帝国宇宙軍は善戦したと評価すべきものであった。
喧嘩する相手が悪すぎた、のは東しな海海戦で、中国海軍機動部隊が日米英統合機動部隊に敗れさったのと同じ、であったと言えよう。
次の章では中華人民帝国宇宙軍の装備した主要兵器について詳説する。
やはり地球上での海戦同様に、劣勢な勢力が相手の通商破壊戦を行っても限界がある例が示されたようです。